野ネズミによる捕食圧の変動がオオシラビソ実生の発生に与える影響

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タイトル別名
  • Effect of fluctuations in seed predation pressure by rodents on emergency of <i>Abies mariesii</i> seedlings

抄録

<p>冬季に樹氷がみられる東北地方の蔵王連峰では、オオシラビソの集団枯損が発生している。林床にはササが繁茂するため、その更新は難しい。重機を用いた地表処理はササ地で有効とされており、リターの除去や種子の捕食圧の減少により実生の発生が促進される。そこで、同種実生に対する地表処理の効果を播種実験で調べ、ササ地からの距離別に野ネズミの捕食程度を評価した。</p><p> 林縁部のササを除去後、ササ地との境界から3mの位置に地表処理区と刈り払い区を設定した。捕食防止用の金網内に播種したところ、実生の発生率は両区間で差がなかった。結実豊作年の秋にササ地との境から5mの区間に種子を蒔き、翌春の発生率を調べた。捕食された種子の割合は、播種区の隣に置いた木皿上の生残種子数で評価した。その結果、境界部では実験直後に生残率が5%以下となった。一方、3m以上の位置では降雪までに約9割の種子が生残していた。翌春もササ地から遠いほど生残率は高い傾向があったが、最終的に大半の種子が捕食され、実生の発生率も総じて低かった。したがって、豊作年でもその発生は捕食圧に左右され、捕食されなければササの刈り払いだけで発生を促進可能と考えられた。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390285300178752000
  • NII論文ID
    130007881261
  • DOI
    10.11519/jfsc.131.0_793
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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