障害者と介護者のQOL向上を支援する衣服2016

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抄録

衣服は私たちの生活には必要不可欠であり、QOL向上を支援するための重要な要因の一つである。衣服の着用は身体だけではなく心にも影響を及ぼすことから、特に、重度の寝たきりの障害者の衣服の選定は、衣服が長時間にわたり直接身体に接触することもあり、細心の注意を払う必要がある。このような視点から、障害者と介護者のQOL向上を目指し、日本重症心身障害学会学術集会において、ファッションショー形式で衣服の提案を行ってきた。  第42回日本重症心身障害学会学術集会では、社会福祉法人北翔会医療福祉センター札幌あゆみの園とともに、11回目のファッションショーを実施する。モデルは、ファッションショーに参加することを楽しみにし、ご家族の承諾を得ることのできた22歳・37歳・47歳の女性3名である。症状は、湾曲肢異形成症・小人症・気管支軟化症・脊椎後弯・難聴、てんかん・精神遅滞・先天性失語症・脳性麻痺、脳性麻痺・痙直型四肢麻痺である。  衣服製作に先立ち、あゆみの園を訪問してモデルや施設職員にヒアリングを行い、生活状況や身体的な特徴を把握した。障害者と介護者のQOL向上の支援を目指した衣服提案に際しては、衣服が身体を圧迫することなく身体に適合すること、温熱的に快適であること、着心地の良さが持続すること、衣服の着脱時に身体に負荷をかけずに無理なく更衣ができること、洗濯等の取扱いが容易であること等を考慮し、それらの要件を満足する素材を開発した。衣服には着用者の心を豊かにする機能もあることから、「このような衣服を着てみたい」というモデルの想いを表現することにも配慮した。日本重症心身障害学会学術集会で提案する衣服は、障害者から健常者に至るまで、誰にでも共用で着用できることを特長としている。 略歴 最終学歴:1977年お茶の水女子大学大学院家政学研究科修了、博士(生活工学) 職歴:日本大学専任講師、田中千代学園短期大学助教授を経て、1996年より日本女子大学教授 賞罰:1996年日本繊維機械学会学会賞受賞 その他の公的活動:日本重症心身障害学会評議員、日本学術会議連携会員、国立研究開発法人審議会委員、経済産業省独立行政法人評価委員会委員等 研究:地上から宇宙に至るさまざまな生活環境に生きる人を対象とした生活支援研究

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