O-1-A09 急性期病院退院後の在宅復帰支援

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抄録

はじめに 重症心身障害児者(以下、重症児者)は、肺炎などの急性疾患罹患後や、合併症に対する術後、急性期治療は終了しても、通常の生活に戻るには時間を要する。介護者は、入院中に増えたケアについて、継続すべきか簡素化できるかの判断がつかず、いつ活動を再開してよいのか、見通しを持てないまま不安を抱えている。 当センターでは、急性期病院に入院治療後、退院に不安を抱える重症児者に対し、在宅復帰を目的とした入院を行ってきた。重症児者は個別性が高く、症例ごとに対応してきたが、振り返りまとめたことによって、共通点や課題がみえたので報告する。 方法 2011年4月から2016年5月の5年間に在宅復帰目的で入院した延べ13例(実数5例)について、カルテより後方視的に検討。 結果 年齢は9歳から37歳、超重症児スコアは8点から44点で平均34点、入院期間は11日から158日で平均61日であった。転帰は退院が8例、状態悪化による転院が5例であった。 入院では、1)身体機能の評価。特に経年的な病態の変化の把握。2)集中的なリハビリテーションや医療的ケアにより、体調を安定させる。3)元の生活を前提にしたケアの見直しと、生活のシミュレーション。4)福祉サービスの調整、情報の共有と引継ぎ。を行った。 症例ごとに本人、家族が望む生活スタイルや価値観は異なる。それを実現するためには、1)に基づいた3)が重要であった。 考察 医療モデルのゴールと生活モデルのゴールにはギャップがあり、そこを調整し橋渡しをすることが当センターの役割と考える。また、急性期から生活までを総合的な視点にたってコーディネートする機能の充実が今後の課題である。

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