MRI検査で診断したposterior reversible encephalopathy syndrome(PRES)妊産婦8例の検討

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  • Eight cases of pregnancy-related posterior reversible encephalopathy syndrome diagnosed with magnetic resonance imaging
  • MRI ケンサ デ シンダン シタ posterior reversible encephalopathy syndrome (PRES)ニンサンプ 8レイ ノ ケントウ

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抄録

<p>可逆性後頭葉白質脳症 posterior reversible encephalopathy syndrome(PRES)は,一過性の脳浮腫に伴う症候群であり,迅速な治療介入により神経学的後遺症を残さず可逆性で予後良好とされている.一方で,脳出血のリスク,神経学的後遺症や死亡の報告もある.今回,MRI検査のT2強調画像およびFLAIRで高信号,DWIで同部位に信号変化を伴わないものを後方視的にPRESと診断し,それらの症例の臨床所見,発症時および後日のMRI所見も含めて検討し,MRI検査を行う意義および時期について報告する.2007~2017年の期間に当院で神経学的症状(頭痛,視覚障害,意識障害,痙攣,嘔吐等)を認めた妊産褥婦のうち,頭部MRI検査よりPRESと診断した症例を検討した.PRES症例は8例で,発症時期は妊娠中が3例,分娩時が2例,産褥期が3例であった.初発症状は子癇発作が最も多く,8例中5例であった.合併症はHELLP症候群が3例,脳出血が1例であった.全ての症例で発症時収縮期血圧は150 mmHgを超えていた.脳出血をきたした1例を除いては,降圧剤で速やかに降圧可能であった.PRES所見を8例中6例で後頭葉に5例で基底核に認めた.脳出血を合併した症例は軽度高次機能障害の後遺症が残ったが,その他の症例は後遺症なく経過した.後日のMRI検査を施行した6例については4-27日後に所見の消失を確認した.中枢神経症状をきたした症例は発症からより早期に,全身状態が許せば可及的速やかにMRI検査を施行し,PRESの早期診断,早期治療,予後の改善を目指すことが重要と考えられた.〔産婦の進歩72(3):237-242,2020(令和2年8月)〕</p>

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