急性脳脊髄炎を併発した帯状疱疹の 1 例

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タイトル別名
  • Herpes Zoster with Acute Encephalomyelitis : A Case Report

抄録

<p>80歳,女性。免疫低下をきたす基礎疾患なし。右上肢と右腰背部の発疹を主訴に前医を受診。帯状疱疹の診断でファムシクロビル内服治療を受けたが,内服開始後 3 日目に食思不振・倦怠感が出現したために当科を紹介受診した。発熱や意識障害はなく,右肩から上腕の C4C5 領域と右腰部のTh10 領域に紅斑と小水疱の集簇があり,対側に散布疹を認めた。複発性帯状疱疹と診断し,入院の上アシクロビルの点滴加療を開始したが,皮疹は痂皮化したものの全身倦怠感は改善せず,右半身筋力低下と両側 C3 以下の温痛覚障害が出現した。髄液検査で髄液細胞数が増加し,頸椎造影 MRI で延髄∼C34 レベル頸椎にかけて高信号域を認めた。経過より水痘帯状疱疹ウイルスによる脳脊髄炎と診断し,アシクロビル倍量投与を合計 7 日間とステロイドパルス療法を合計 3 クール施行し,筋力・温痛覚は改善傾向を示した。しかし経過中の造影 MRI にて造影効果の増強がみられたため,アシクロビル倍量投与を再開し,ステロイドパルス療法を 1 クール併用した。アシクロビルは合計34日間投与後中止し,リハビリ目的に転院した。現在は近医で右上肢挙上困難と右肩の拘縮に対するリハビリを継続している。帯状疱疹性脊髄炎は免疫低下を引き起こす基礎疾患がなくても発症することがある。また脊髄炎による運動神経麻痺は神経予後が悪く,慎重な病状説明をする必要がある。 (皮膚の科学,19 : 111-116, 2020)</p>

収録刊行物

  • 皮膚の科学

    皮膚の科学 19 (2), 111-116, 2020

    日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390285697589268608
  • NII論文ID
    130007896156
  • DOI
    10.11340/skinresearch.19.2_111
  • ISSN
    18839614
    13471813
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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