リポカリン分子C8γの重金属毒性防御機構の解明に向けて:重金属結合性の検討
書誌事項
- タイトル別名
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- Protective role of a lipocalin family protein C8 gamma against heavy metal toxicity: Characterization of the binding mode between C8 gamma and heavy metals
抄録
<p>【背景】リポカリン分子は、特徴的なカゴ状構造を有し、レチノイド類等の生体内外の疎水性化学物質の体内動態に影響を及ぼすことが知られている。補体構成分子Complement Component 8 gamma(C8γ)はリポカリン分子としての特徴を有するが、生体内機能および結合物質は現在まで明らかにされていなかった。我々はこれまでに、C8γが有機スズ化合物の一種であるトリフェニルスズ(TPT)と結合し、その毒性を軽減している可能性を明らかにしている。本研究ではC8γとTPTの結合性のより詳細な評価およびTPT以外の化学物質との結合性の評価を行った。</p><p>【方法】C8γタンパク質とTPTの結合性を、[14C]標識TPTを用いたin vitro結合実験により評価し、解離定数Kd値を算出した。次に、TPT以外の化学物質のC8γとの結合能を評価するため、フェニル基またはブチル基を1から3個有する有機スズ化合物およびトリフェニル化合物を用いて[14C]標識TPTとの競合阻害実験を行った。 </p><p>【結果】TPTとC8γタンパク質との特異的結合曲線は飽和曲線を示し、この曲線を基にスキャッチャードプロットを作成したところ、解離定数Kd値は、56.2 ± 16.2 nMと算出された。TPTとの競合阻害実験により、トリブチルスズ(TBT)がTPTと同程度の競合性を示した。一方で、1および2置換体有機スズ化合物の結合性はTPTやTBTと比べて弱いか、ほとんど認められなかった。また、トリフェニル化合物のうち、中心原子として半金属元素であるヒ素を有するトリフェニルアルシンでは結合性がほとんど認められなかったが、スズと同じ13族元素である鉛を中心に有するトリフェニル鉛では、TPTよりも低濃度で強い競合性を示した。</p><p>【結論】有機スズ化合物の中でもTPT、TBTは、C8γと強力に結合することが明らかになった。また、C8γの化学物質との結合性は、置換基およびその数に加えて、中心原子にも大きく影響を受けることが示唆された。</p>
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 47.1 (0), P-109-, 2020
日本毒性学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390285697591457920
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- NII論文ID
- 130007898216
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可