Caco-2細胞におけるポリスチレン粒子のオートファジーとエクソソーム分泌への影響

DOI
  • 中川 博史
    大阪府立大学生命環境科学研究科獣医学専攻毒性学教室
  • 西村 和彦
    大阪府立大学生命環境科学研究科獣医学専攻毒性学教室

書誌事項

タイトル別名
  • Evaluation of the effects of polystyrene particles on autophagy pathway and exosome secretion in Caco-2 cells

抄録

<p>【目的】プラスチック粒子が摂取された場合、細胞内に取り込まれるのか、また取り込まれるのならばどのような影響を示すのかについて議論がある。近年、直径0.1μm程度のポリスチレン粒子が細胞に取り込まれ、その一部はリソソームに集積することが報告された。リソソームはオートファゴソームおよび後期エンドソームの分解の場であることから、リソソームへのポリスチレン粒子の蓄積が、オートファジーの動態および、後期エンドソームで生成されるエクソソームの分泌へ影響を与えることが予想される。本研究ではCaco-2細胞を用いて、ポリスチレン粒子のオートファジーやエクソソーム分泌への影響を評価した。</p><p>【方法】ヒト結腸癌由来細胞株Caco-2細胞を用い、200μg/mlの未修飾又はアミノ基修飾のされた直径0.1μmの蛍光ポリスチレンビーズを24時間処置した。オートファジーはMDC染色およびLC3ウエスタンブロットで検出した。後期エンドソームはCD63抗体を、リソソームはLAMP-1抗体を用いた蛍光免疫染色にて観察した。エクソソーム分泌は、培養上清エクソソーム画分のCD63ウエスタンブロットで評価した。</p><p>【結果と考察】ポリスチレン粒子は細胞に取り込まれ細胞質内に斑状に分布し、その一部はLAMP-1タンパクと共局在したことからリソソームへ蓄積したと考えられた。MDC染色陽性オートリソソームのサイズの増大と数の増加が見られ、LC3-IIタンパクも増加したことから、オートファゴソーム分解の抑制が示唆された。また後期エンドソームのサイズの増大と数の増加と共に、僅かではあるがエクソソームの分泌の増加が観察された。後期エンドソームのリソソームでの分解が抑制された結果、エクソソーム分泌量が増大したのではないかと考えられた。これらの結果は、取り込まれたポリスチレン粒子が細胞の生存調節機構に影響を与えることを示唆している。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390285697591496832
  • NII論文ID
    130007898261
  • DOI
    10.14869/toxpt.47.1.0_p-198
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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