シスプラチン誘導性アポトーシスにおけるTRAF2の機能的役割
書誌事項
- タイトル別名
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- Functional roles of TRAF2 in cisplatin-induced apoptosis
説明
<p>TRAF2 (tumor necrosis factor receptor-associated factor 2) は、NF-κB (nuclear factor-κB) やJNK (c-Jun N-terminal kinase) シグナル経路の主要な制御因子である。特に、代表的な炎症性サイトカインであるTNF-α (tumor necrosis factor-α) は、TRAF2を介して両シグナル経路を活性化することが知られている。その際、TRAF2は細胞の生存に寄与し、TNF-αが誘導する細胞死を抑制する。一方、酸化ストレス存在下では、TRAF2が細胞死を促進することも報告されている。即ちTRAF2は、状況に応じて細胞の「生と死」を調節する細胞運命決定因子であることが示唆されている。</p><p> DNA損傷は、TNF-αや酸化ストレス同様に細胞死を誘導することが知られているが、DNA損傷時におけるTRAF2の機能的役割は未解明であった。そこで我々は、DNA損傷時におけるTRAF2の機能を明らかにするために、ヒト線維肉腫細胞株HT1080細胞を用いてTRAF2欠損細胞を作製し、癌治療で汎用されているDNA損傷誘導剤シスプラチンによるアポトーシスとそのシグナル経路について解析を行った。その結果、TRAF2欠損細胞では、シスプラチン依存的な癌抑制因子p53の安定化とJNKの活性化が減弱し、シスプラチン誘導性アポトーシスに抵抗を示した。これらの結果から、TRAF2は、JNK依存的なp53の安定化を介してp53誘導性アポトーシスを促進していることが示唆された。本研究の結果は、TRAF2がシスプラチン誘導性アポトーシスの感受性を調節していることを示唆しており、TRAF2の発現量や活性化状態が、シスプラチンを用いた癌治療の障壁となっている副作用や耐性発現に関与している可能性が考えられた。</p>
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 47.1 (0), P-73S-, 2020
日本毒性学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390285697591711232
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- NII論文ID
- 130007898544
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可