化学物質の予測物性値を用いる生理学的薬物動態(PBPK)モデルを活用するヒト臓器中濃度推移と毒性予測
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- 山崎 浩史
- 昭和薬科大学
書誌事項
- タイトル別名
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- Virtual hepatic concentrations of industrial chemicals extrapolated using pharmacokinetic models for predicting liver toxicity
抄録
<p>フタル酸ジエステル類をヒト肝細胞移植マウスに経口単回投与すると、ヒト型の代謝物や胆汁/尿中排泄の動態が確認された。これらのヒト尿中バイオモニタリング報告値から、簡易生理学的薬物動態(PBPK)モデルを用いて反復曝露量を逆算したところ、1日許容数量を下回った。ヒト肝移植マウスにP450 2C9不括化薬チエニリン酸を前処置すると、S-ワルファリン代謝消失のP450寄与率がin vivoで確かめられた。これらはヒト型モデル動物を活用しているが、動物実験を介さずにヒトでの薬物血中濃度推移を予測する手法が注目されている。本研究では、各種物性値に基づくPBPKパラメータセット予測式構築を試み、仮想ヒト体内動態とその毒性を予測することを目的とした。ヒト由来 Caco-2 細胞を用いた一般化学物質の膜透過係数は、その分子量、消化管と血液 pH を規定した分配係数を用いた重回帰分析より予測しうること、および物質経口投与後の消化管吸収性、ひいては肝への毒性影響を担う因子の一つであることが示唆された。多様性に配慮した100物質の血中濃度推移をもとに、重要3種PBPKパラメータ値は、評価対象物質のオクタノール/水分配係数、酸解離定数等の物性値を用いる重回帰分析にて推定可能であった。ラット肝毒性物質7種の肝最小作用量は、PBPKモデルによる仮想投与時の前向き推定肝中濃度時間曲線下面積値と逆相関を示した。複数の医薬候補品の報告ヒト血中濃度推移は、仮想経口投与出力結果と概ね一致したことから、薬物動態パラメータ値予測方式は、新規物質のヒト血中濃度推移や毒性予測に有用であることが示唆された。本研究は経済産業省「省エネ型電子デバイス材料の評価技術開発事業」(機能性材料の社会実装を支える高速・高効率な安全性評価技術の開発・毒性関連ビッグデータを用いた人工知能による次世代型安全性予測手法の開発)の支援を受けた。</p>
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 47.1 (0), S6-2-, 2020
日本毒性学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390285697591789440
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- NII論文ID
- 130007898557
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可