唾液マーカーを用いたポイント・オブ・ケア検査へのアプローチ
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- 山口 昌樹
- 信州大学大学院総合医理工学研究科
書誌事項
- タイトル別名
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- Salivary biomarkers in point-of-care testing
抄録
<p>唾液サンプルによる非侵襲的な疾患検査を実現するための重要な技術は,バイオマーカーと,それを分析するバイオセンサである。化学的な唾液検査は,本質的に安全であり,場所を選ばずいつでも検体を採取できるという点で,血液検査よりも圧倒的な利点がある。しかし,疾患の診断技術は,これらの利点だけに基づいて確立することはできない。唾液検査の産業実装は,検査の診断精度が従来の手法よりもはるかに高いか,または治療を支援するための追加の新しい情報を提供できるという長所が認められた場合に限られている。そのため,これらを具備する新しいバイオマーカーの同定も求められている。唾液を用いた迅速,低コスト,高感度な分析技術は近年大幅に進歩しつつあるが,そのような技術が活用されている現場は,今のところウイルス感染検査やストレス検査などに限定されている。ただし,近い将来,唾液センサはポイント・オブ・ケア検査 (POCT:迅速検体検査) としてさまざまな疾患検査へ応用されていくと予想している研究者も多い。一つのトピックとして,生体内におけるサイトカインネットワークは,がんの発生や進行に深く関与していることが知られており,私はがんスクリーニングや治療効果の判定における唾液サイトカインの有用性を研究している。このレビューでは,唾液を検体とした生体検査の現状と将来展望に焦点を当てる。唾液センサの要素技術についても解説したい。</p>
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 47.1 (0), S25-3-, 2020
日本毒性学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390285697591798528
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- NII論文ID
- 130007898572
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可