<i>Brahmasiddhi</i>におけるMaṇḍanamiśraの「力」について

  • 斉藤 茜
    JSPS Overseas Research Fellow, EFEO Pondicherry

書誌事項

タイトル別名
  • Power (<i>mahiman</i>, <i>śakti</i>) for Maṇḍanamiśra in the <i>Brahmasiddhi</i>
  • Power (mahiman, sakti) for Mandanamisra in the Brahmasiddhi

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抄録

<p>Maṇḍanamiśra(7–8世紀)の著作Brahmasiddhi(BS)(『ブラフマンの存在証明』)は,要所要所でその思想の下敷きとして,Bhartṛhari(5世紀)の著作Vākyapadīya(VP)(『文章単語論』)の存在を示唆する.Maṇḍanaは,BSにおいて,当著作の眼目でもある「無限定の実在」とそこから生まれる多様な現象世界を言い表し,また論証するために,VPに存在する多くの論説を受け継いでいると思われるが,直接の言及は少なく,漠然とBhartṛhariが想起されることの方が多い.そこでBS第二章から,Maṇḍanaが,諸事物の多様性を実現する「力」(mahiman, śakti)について言及し議論している二つの箇所を取り上げる.特に彼の言葉遣いと自註に展開される「力」についての考察を手掛かりに,それに類する表現ないし思想をVPに見つけることができるか.本論文では,BS II vv.8cd–9abが,ヴェーダに遡る宇宙的力(mahiman)についての言明を背景にしているのは明らかであるが,それに加えてVPにおける,諸事物の区別を否定する言明を念頭に置いている可能性,またBS II v.32が,VPにおける「時間能力」(kālaśakti)についての言明を受けたものである可能性を示し,Maṇḍanaにとっての「力」の概念が,ヴェーダ由来のmahimanと,Bhartṛhariの提唱したśaktiに,強く影響されたものであると結論する.</p>

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