SSRマーカー遺伝子型に基づく日本と台湾のウメの過去の集団動態の推定

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  • Estimation of demographic history of Japanese and Taiwanese populations in Prunus mume using SSR marker genotypes

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抄録

ウメ(Prunus mume)はPrunus属の果樹であり,300以上の品種が東アジアを中心に分布しているが,日本の実ウメ,小ウメ,花ウメおよび台湾由来のウメもこれらに含まれる.そこで,日本と台湾のウメの過去の集団動態を推定するために,53品種(実ウメ20品種,小ウメ8品種,花ウメ20品種,台湾5品種)のSSRマーカー20座における遺伝子型のデータセットに基づき,近似ベイズ計算(approximate Bayesian computation)を用いた解析を行った.まず,6つの起こりうる分岐シナリオから最適モデル(事後確率0.501)を推定し,そのモデルの集団動態に関するパラメーターの中央値を算出した.また,ウメの世代時間を7年(生殖可能年齢)と仮定し,世代数を年代に換算した.最適モデルでは,日本と台湾の集団が10360年(95%信頼区間:2079-56910年)前に初めに分岐し,その後3633年(95%信頼区間:1218-12740年)前に日本の集団から花ウメが分かれ,最終的に2387年(95%信頼区間:623-6258年)前に実ウメと小ウメが分化したと推定された.これらの分岐年代は粗く推定されたものであるが,異なった気候条件を伴う地理的隔離により日本と台湾のウメが分化し,その後日本で人の用途に応じて花ウメ,実ウメ,小ウメが最近分化したことを示唆する結果となった.

収録刊行物

  • 作物研究

    作物研究 65 (0), 31-35, 2020

    近畿作物・育種研究会

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