老舗中小企業における直接原価計算の導入と実践

書誌事項

タイトル別名
  • Introduction and Practice of Direct Cost Accounting in Long-established Company
  • 老舗中小企業における直接原価計算の導入と実践 : 部門別限界利益管理の展開
  • シニセ チュウショウ キギョウ ニ オケル チョクセツ ゲンカ ケイサン ノ ドウニュウ ト ジッセン : ブモン ベツ ゲンカイ リエキ カンリ ノ テンカイ
  • ―Management by Sectoral Profit―
  • ―部門別限界利益管理の展開―

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抄録

<p> 直接原価計算は,階層化された企業(組織)においてマネジメント・コントロールを行う マネジメント層が利益目標を実現するためだけでなく,マネジメント層による固定費に対する原価責任 と,タスク・コントロールを行う現業管理者が負う変動費に対する原価責任を明確化することによって, 「2 階層の経営管理のための会計的統制手段」として用いられるとともに「計画機能と統制機能を含め た意味での短期限界利益管理」のために用いられる(上總1993,190)。</p> <p> 本稿は,社歴の長い中小企業が経営理念の実現とその存続を担保するための限界利益管理をどのよう に展開しているのかについて理論的な検討を行うことを目的とする。</p> <p> 鹿児島県鹿児島市に本社を置く醤油・味噌醸造を行うF 社は1870(明治3)年に創業されたが,そ れ以前から薩摩藩の御用商人であり,現在も鹿児島県内において醤油のシェア約3 割を占める老舗企業 である。現社長のF 氏は6 代目であり,事業の存続を第一義としている。そして,経営目標として「企 業が存続できる利益を確保すること」を掲げている。</p> <p> F 氏(現社長)は,直接原価計算を学んだことを契機に,顧問税理士に相談して直接原価計算と限界 利益に基づく管理を行うようにシステムを整えた。これ以後,F 社では毎月の業績検討会を行って課長 以上に会計情報を共有するとともに,F 氏による全社的な限界利益管理と各部門長による部門別限界利 益管理が行われている。また,会社の存続は従業員とともにあるという考え方をF 氏が持っていること から,固定費として管理される人件費を限界利益が上回るようにいかなる管理を行うかが課題とされて いる。</p>

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