中小企業監査における判断規準としての中小企業会計基準

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タイトル別名
  • Accounting Standards for SMEs as Established Criteria for SME Audit
  • チュウショウ キギョウ カンサ ニ オケル ハンダン キジュン ト シテ ノ チュウショウ キギョウ カイケイ キジュン

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抄録

<p> 本論文は,2 つの中小企業会計基準を「中小企業の監査」の側面から検討し,貢献の可能性を検討するものである。</p> <p> そもそも中小企業会計基準は,企業会計基準と並ぶ会計基準となりうるのかという疑問がある。そこで,まず金融商品取引法・会社法・税法における中小企業会計基準の位置づけや中小企業会計基準の特徴・策定方法をもとに,企業会計基準に並ぶ会計基準であるのかどうかを検討する。</p> <p> さらに「中小企業の監査」を「帳簿の調整(帳簿が正しくつけられているかどうかを確認すること)」と「計算書類の信頼性の保証(会計帳簿と計算書類の記載との間に重要な不一致がないかを確認すること)」とし,「中小企業の監査」における中小企業会計基準の必要性について,「両者(金融機関と中小企業)の共通認識」としての会計基準という観点から検討している。そこで中小企業経営者に理解しやすく,適用可能性の高い「中小会計要領」が,「中小会計指針」に比べ浸透しやすいことを指摘している。</p> <p> しかし,「会計基準体系における中小企業会計基準の位置」をもとに「準拠性(会計基準に準拠していること)」と「適正性(取引を適正に表す会計基準であること・全体として整合性が取れており記載すべきことが記載されていること)」を検討した場合,準拠性に対しては「中小会計指針」・「中小会計要領」共に対応することができるが,適正性に対しては「中小会計要領」に検討の余地があることを指摘している。これは「中小会計要領」に「相当の減価償却」が含まれているためである。「中小企業の監査」において適正性を求める場合,「相当の減価償却」について再検討することが,今後の課題であることを指摘している。</p>

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