文頭 <i>But</i> は進行中の言語変化に関わる変異か

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  • Is the Use of Sentence-Initial <i>But</i> Language Change in Progress?
  • Is the Use of Sentence-Initial But Language Change in Progress?

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抄録

<p>等位接続詞butのうち,節同士を文中で接続する用法(SV, but SV.)に対して,単独節の冒頭(文頭)に出現する用法(SV. But SV.),いわゆる「文頭But」(sentence-initial But, SIB)を特に書き言葉において使うことは,規範主義的立場からは好ましくないとされる.しかし,実際には,このSIBの用法は新聞,辞書,論文,英語学習用テキストなどのフォーマルな書き言葉においても多用されているように見受けられる.本稿は,社会言語学的視点から,SIBと文中butのゆれが,安定した変異なのか,もしくは進行中の言語変化に関わる変異なのかを論じる.辞書や文法書を概観するに,SIBが少なくとも18世紀の時点ですでに使用されており,それ以降今日に至るまである程度安定した変異として存在してきた可能性が示唆される.計量的手法に基づき,アメリカ英語の通時的コーパス(COHA)におけるSIBの運用実態を調査した結果,等位接続詞butのうちSIBが20~30%を占めることが判明した.SIBの使用率が200年間(1810~2000年代)で比較的ゆっくりではあるが概ね上昇を続けていることは,この変異が進行中の言語変化に関わっていることを支持する結果となった.この変化は,文頭に現れうるという点において,等位接続詞butが接続副詞的機能の一部を獲得しつつある可能性を示唆するものである.</p>

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