炎症性サイトカインインターロイキン1の活性異常が引き起こす雌性不妊の病態解明

書誌事項

タイトル別名
  • Dysregulated interleukin-1 activity results in female infertility

説明

<p>【目的】少子高齢化が問題視される昨今,本邦ではカップルの5組に1組が不妊に悩んでいるといわれている。本研究室では炎症性サイトカインインターロイキン1(IL1)と妊孕性の低下との関係について研究を進めている。今回の発表では,過剰なIL1シグナルが招く雌性不妊の実態解明を目的とした。【方法】本研究ではIL1シグナルの機能を抑制するIL1RAとIL1R2の2つを欠損させたΔRAΔR2マウスを使用した。またIL1の分子メカニズム解明のためIL1A,IL17A,TNFのいずれかを欠損するΔRAΔR2マウスを使用した。妊孕性はWTのオスにWT,ΔR2,ΔRA,ΔRAΔR2,ΔRAΔR2ΔIL1A,ΔRAΔR2ΔIL17A,ΔRAΔR2ΔTNFのメスを4か月間交配させることで検証した。卵巣機能はPMSG,hCG腹腔内投与による過排卵処理を行い,排卵された卵子数で検証した。性周期は膣垢のギムザ染色観察によって検証した。着床機能は交尾を確認後6日後の着床痕を観察することで検証した。【結果】マウスの妊孕性について調べたところ,IL1シグナル入力が強くなるに従い妊孕性が低下し,ΔRAΔR2では産仔が得られなかった。またΔRAΔR2ΔIL1A,ΔRAΔR2ΔIL17A,ΔRAΔR2ΔTNFでは妊孕性が回復した。この結果は,IL1Aはメスの妊孕性を負に制御し,その下流ではIL17a,TNFが加担することを示す。ΔRAΔR2は過排卵誘導に応答し,WTと同様の排卵を示したが,性周期は休止期で停止していた。そこで,排卵誘導後に交尾することで不妊症を改善できるか検証を行ったところ,産仔は得られず,着床にも問題が見られる可能性が示唆された。よって,ΔRAΔR2の妊孕性喪失の原因は卵巣の機能低下ではなく,視床下部,下垂体でのホルモン産生異常,あるいは子宮内環境の異常であると考えられる。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390285697611313152
  • NII論文ID
    130007925685
  • DOI
    10.14882/jrds.113.0_p-116
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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