始原生殖細胞の異種間移植を想定したニワトリ胚への蛍光マイクロビーズ移植

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Injection of fluorescence micro beads into chicken embryo supposed xenogeneic transplantation of the primordial germ cells

抄録

<p>[目的]始原生殖細胞(PGCs)は,将来配偶子に分化する生殖細胞の基となる移動性を有する細胞である。哺乳類のPGCsは組織間をアメーバ様運動により移動するのに対し,鳥類のPGCsは哺乳類のような能動的な移動に加え,血行移動という受動的な移動も行っている。このように哺乳類と鳥類でPGCsの移動経路や移動形式は異なる。しかし,PGCsの生殖腺までの移動メカニズムには,PGCsをガイドするケモカインが存在するなど共通する部分も多い。もし,マウスとニワトリ間でPGCsを異種間で移植した場合,マウスPGCsがニワトリ胚においてどのような動態を示すだろうか。本研究では,その基礎的研究として,ニワトリ胚にPGCsと同じ径の蛍光ビーズを移植し,蛍光ビーズがニワトリ胚においてPGCsの移動の終着地点である生殖隆起(GR)にまで移動するかどうかを検討した。[方法]孵卵73時間頃のニワトリ胚(白色レグホン種)の背側大動脈にマイクロシリンジを用いて,PBSで希釈した直径15 μmの蛍光ビーズを1胚当たり約500個移植し,再びその種卵を孵卵した。孵卵4.5から6.5日目にそのニワトリ胚から各種臓器を採取し,採取した各組織をホールマウント後,蛍光顕微鏡でマイクロビーズ蛍光を観察した。[結果]その結果,蛍光ビーズを移植した孵卵6.5日目のニワトリ胚の心臓,肝臓,GR近傍の腸管に蛍光が確認されたがGRには蛍光は見られなかった。確認された蛍光ビーズは数個ほどであり,移植した500個に対し非常に少ない数であった。したがって,胚の血管内に移植されたビーズは,血液循環を介して,あらゆる臓器を通りながら,受動的にGR近傍の腸管には移動することが示唆された。また,マイクロビーズがGR近傍の腸管には観察されたが,GRには観察されなかったことから,GRに移動するには細胞自身の能動的な形態の変化が必要であることも示唆された。各臓器で確認された細胞数が少ないため,移植したマイクロビーズの数や移植ステージなどの検討の余地がある。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390285697611371648
  • NII論文ID
    130007925746
  • DOI
    10.14882/jrds.113.0_p-60
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ