経過例からインプラント治療の長期寿命を検証する

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  • Verifying the Long-term Prognosis of Implant Treatment from the Progress of Cases

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説明

<p>インプラント治療は直面する多くの課題を克服しつつ現在にいたっている.なかでもオッセオインテグレーテッドインプラントの登場は,それまでのブレードベントインプラントに代表された骨内インプラントや骨膜下インプラントの概念を一変させ,その後の発展は周知のとおりである.他方,インプラント治療は終末期の到来という人工歯根としての宿命を抱えている.病因はさまざまであるが機能下での生体疲労の限界像である病態を示して終末を迎える.</p><p>インプラント治療の発展と並行して到達したのが世界有数の平均寿命を誇る日本の超高齢社会である.厚生労働省老健局による資料「男女別百歳以上高齢者数の年次推移」によれば,老人福祉法が制定された昭和38(1963)年の全国の100歳以上の男女総数は,わずか153人であった.東京五輪の1年前,Leonard I. LINKOWの初来日4年前にあたる.</p><p>その後,平成30(2018)年には100歳以上の人口は7万人目前の69,785人に増加している.この結果にはQOLの向上と健康寿命の延伸の両輪の背景があり,それに伴う社会構造の変化への対応が新たな課題になっている.インプラント治療もこの長寿社会と向き合っていくことになるが,多様な歯列形態に加えて受診者の要求もまた多様化の傾向にある.このような環境下で現在のインプラント治療は術後評価も高く,QOLのさらなる向上に十分寄与し続けることになろう.しかし,受診者のインプラント治療への不変の願望は終末期の遅延・延命にあることに目を背けてはならない.</p>

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