O-1-H01 入院中の重症心身障害児者の急性増悪時における当院と近隣病院の小児救急専門チームとの連携

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抄録

当院は、県内の在宅で過ごす多くの重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))の定期的な外来通院、リハビリテーション、体調不良時の治療入院、さらにレスパイトなどの社会的入院も担っている。小児神経専門医やリハビリスタッフなどが多く勤務し、病棟看護師も重症児(者)の慢性的な呼吸管理・栄養管理・医療的ケア技術に長けている。一方、小児救急専門医はおらず、集中治療室もなく、高度救急医療を必要とする救急疾患の対応に関して設備・人員の面で十分でない。そのため、当院通院中の重症児(者)が急性増悪し対応に苦慮することが多かった。この当院の短所を補うため、近隣の救命救急センターと協定を結び、当院入院中の重症児(者)が急変した際に救命救急センターに在籍する小児救急医が駆けつけ、病棟内で非常勤医師として緊急支援を行う仕組みを作った。具体的な症例にそって紹介する。 症例 先天奇形症候群に合併した難治てんかん、糖尿病、痙性四肢麻痺の治療・リハビリのため当院外来通院中の大島分類1の5歳男児。発熱を主訴に受診し高血糖のため緊急入院。腹部膨満を認め、造影CTで重症急性壊死性膵炎と診断し、膵炎に対する治療を開始した。入院翌日に肺水腫により急性呼吸不全となり気管内挿管を行ったが、呼吸器では換気できず高圧の用手換気を継続しなければ有効換気ができない状態であった。この時点で提携救急救命センターの小児部門に連絡し1時間後に2名の医師が病棟に到着し、彼らの指示のもと患者が搬送に耐えられえるように状態の安定化を図った後、県下の大学病院の小児集中治療室にすみやかに搬送ができた。 結論 重症児(者)の診療を行っている施設と救命救急センターとの提携により、救急専門チームの介入で高度救命処置が必要になった重症児(者)を迅速により高度な医療を提供できるようになった。

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