O-1-S08 重症心身障害児(者)における抗重力姿勢保持能力と体格の変化について

DOI
  • 清水 義之
    東京都立東大和療育センター リハビリテーション科
  • 伊藤 久美子
    東京都立東大和療育センター リハビリテーション科
  • 栗山 康子
    東京都立東大和療育センター リハビリテーション科
  • 小林 愛
    東京都立東大和療育センター リハビリテーション科
  • 山崎 理恵
    東京都立東大和療育センター リハビリテーション科
  • 曽根 翠
    東京都立東大和療育センター リハビリテーション科

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抄録

目的 重症心身障害児(者)の抗重力姿勢保持能力とBMIおよび四肢周径の経年変化の実態を調査し、その関係を明らかにする。 対象 当センター長期入所者92名の内、2005年時に自力による坐位保持以上の姿勢保持が可能であった54名とした(男性32名、女性22名、平均年齢52.4±8.0歳)。 方法 対象者の姿勢保持能力を臥位・坐位・立位レベルに3分類し、2005年時と比較してその能力が維持されている者(A群)と低下した者(B群)に分類した。体重、上腕周径、大腿周径、下腿周径、上腕三頭筋皮下脂肪厚を測定しBMI、上腕筋面積を算出した。また床上で自発的移動能力を有している人数を各群で調査した。各測定項目と算出項目の2005年時に対する比率(%)と、自発的移動能力の有無の人数を群間比較した。さらに対象者全員のBMI比率を目的変数とし、上腕、大腿、下腿周径比率と皮脂厚比率を説明変数とした重回帰分析を行った。 結果 A群は31名、B群は23名であり両群間に年齢の差は認められなかった。測定項目と算出項目に関してA群はB群に比べ上腕周径、大腿周径、下腿周径、BMI、上腕筋面積の変化が有意に小さく、2005年時の体格がおおむね維持されていた。皮脂厚には差は認められず両群とも増加傾向を示した。なお自発的移動能力を有している人数はA群で有意に多かった。また上腕周径比率がBMI比率に関する有意な説明変数として示された。 考察 姿勢保持能力が維持されている対象者の体格変化率は小さく、また自発的な移動能力を有している者も多いことから、姿勢を保持し床上で移動するためのトルクを発揮する筋量をある程度維持していることが示唆された。四肢周径の変動は筋力評価が困難な重症児(者)の粗大運動機能の状態を反映する指標となる可能性があり、特に上腕周径は体格指数BMIの変化に与える影響が大きいことが分かった。

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