P-2-C02 重症心身障害者のベッド内での側臥位姿勢における体圧分布の測定

DOI
  • 矢野 悦子
    東京小児療育病院 リハビリテーション部 理学療法科
  • 重森 健介
    東京小児療育病院 リハビリテーション部 理学療法科
  • 染谷 淳司
    東京小児療育病院 リハビリテーション部 理学療法科

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抄録

はじめに 筋緊張や姿勢の調整が困難で、呼吸障害を呈する重症心身障害者にとって、側臥位姿勢は上気道を確保し、誤嚥を防ぐ姿勢の一つとして有用である。半面、支持基底面が狭く不安定で、肩や骨突出部に荷重が集中しやすい。その対応として、体幹部に三角マットを挿入し、除圧と姿勢保持に活用してきた。これにより全身の体圧分布がどう変化するか、測定する機会を得たので以下に報告する。 対象と方法 当園入所利用者2名。大島分類1、準超重症者。ベッドに全身サイズ体圧分布測定器(アルテスタ、モルテン製)を敷き、頭部には簡易体圧・ずれ力測定装置(プレディア、モルテン製)を使用。側臥位姿勢を取り、三角マットあり・なしの体圧分布の状況を左右側臥位各々で測定した。倫理的配慮は当院の倫理審査委員会の承認を得た。 結果 2名とも三角マットの使用により下側上肢が減圧されていた。体支持面積は三角マットありで2例とも増加し、体圧が分散されていた。三角マットの使用により、一例は上肢だけでなく大転子周辺の最高体圧を示す面積も減少していた。もう一例では下側上肢の除圧がなされた半面、体幹(特に腋窩)部の体圧の上昇が見られた。 考察・まとめ 支持基底面の狭い側臥位姿勢において、体幹部に挿入した三角マットが、体圧分散に効果的であると考えられた。広い支持面を得ることが姿勢の安定につながり、安楽で快適な姿勢ケアを提供しているものと思われる。腋窩部の体圧上昇が見られた一例では、三角マットの形状や素材、三角マット以外の他の姿勢保持具について検討・改善する必要性が示された。体圧分布の測定が、姿勢評価を行う上で、定量的かつ可視化された評価法の一つであると考えられた。

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