P-2-C15 東京都における重症心身障害者のグループホーム調査

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抄録

目的 障害者総合支援法など近年の施策では、どんな障害を持っていても地域で暮らすことが目標として掲げられているものの、重症心身障害など障害の重い人は、その障害の重さ、支援の困難さ等から、グループホームなどの地域に密着した小規模施設で暮らせる方は非常に少ない。そこで東京都内のグループホームの実態調査を行い、重症心身障害者が地域で生活するにはどのような条件が必要なのかを検討した。 対象および方法 2015年1−2月に、東京都福祉ナビゲーションの情報をもとに、都内で障害者を対象としたグループホームを運営する407法人を対象に、重症心身障害を持つ入居者の有無、数を、一次アンケート調査にて確認。その後二次調査を実施した。 結果 407施設中、アンケートの有効回答数は357施設。357施設中36施設に94名の重症心身障害を持つ入居者がいた。二次調査では、45施設(重症心身障害者の居住あり28施設、なし17施設)に詳細なアンケート調査を実施。その結果、居住あり施設では、都・市区町村からの補助をより受けており、職員体制も特に夜間・休日で居住がない施設より多かった。また居住ありの施設で施設の自己所有率が高かった。重症心身障害者の受け入れに必要なものとしては、スタッフの増員、医療機関との連携強化、スタッフの常勤増やす、急変時の医療連携、加算の増額、夜間休日の介護体制強化などがあげられた。 考察 今回のアンケートでは、36施設に重症心身障害を持つ94名の入居者がいることが確認できたが、2012年の山本の調査と比較して数が増えていないことがわかった。今のグループホームの報酬額では、重症心身障害者の受け入れに必要なスタッフの確保、看護師の配置などは難しく、報酬の増額、加算要件の緩和、各自治体での補助など行政の支援が必要と思われる。またスタッフの常勤化、研修、さらなる医療連携なども重要と考える。

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