O-2-G26 エキストラバージン・オリーブオイル摂取による、重症心身障害児への排便効果

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抄録

はじめに 重症心身障害児の多くは常に便秘状態であり、容易にイレウスに結びつきやすい準備状態にある。死亡原因になることもあり、幼児期から生涯に渡り数種の下剤や浣腸を使用しており、排便のコントロールは非常に重要である。一方、エキストラバージン・オリーブオイル(以下、ExV.Olive.oil)の便秘や健康への効果は知られているが、重症心身障害児(者)への効果報告はない。自然で体に良い食品を毎日摂取することで手軽に便秘予防できれば、障害児の排便コントロールに貢献できる可能性がある。 今回、ExV.Olive.oil摂取による排便に対する効果を明らかにする目的で、摂取前後の排便状況の変化を比較したので報告する。 対象・研究方法 医療型障害児入所施設に入所中の3歳から18歳までの児9名に対し、朝食に混ぜてExV.Olive.oil(0.3ml〜0.6ml/kg)を4〜8週間継続摂取してもらい、前後各4週間づつの排便状況の変化を比較した。院内倫理委員会の承認を受け、利用者に文書と口頭で研究の内容・方法、参加自由意思などについて説明し同意を得た。 結果・考察 ExV.Olive.oil摂取前と摂取中の群で排便回数、便量の平均値は有意に増加した。摂取量を0.6ml/kgに増すと回数はさらに伸び、浣腸回数や緩下剤の投与量も減少傾向を示した。抗けいれん剤を使用していない児に効果は出やすかった。 便の形状については、固めから柔らかめ、水様は有形に変化しており、便の量については一回量の増加が考えられた。体重変化は全員に認められなかった。また、「便の性状がとてもよくなり、臭いも良くなった」という記録が複数あり、ExV.Olive.oil効果による便の性状変化が考えられた。 ExV.Olive.oilの継続摂取は、便の形や性状への好影響と排便促進に有効である可能性が示唆された。

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