末梢挿入型中心静脈カテーテル先端位置・合併症の左右差比較

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タイトル別名
  • Comparison of Left-right Differences in Tip Positioning and Complications of Peripherally Inserted Central Catheters
  • マッショウ ソウニュウガタ チュウシン ジョウミャク カテーテル センタン イチ ・ ガッペイショウ ノ サユウサ ヒカク

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抄録

<p> 末梢挿入型中心静脈カテーテル (peripherally inserted central catheter, PICC) は安全性が高く頭頸部癌の薬物療法でも用いられるが, 留置側の左右差に着目した報告は少ない. PICC 留置後の先端位置移動と合併症発生率の左右差について検討した.</p><p> PICC 留置を行った頭頸部癌145例172件を対象とし後方視的な調査を行った. 留置側は右36件, 左136件で, 留置期間中央値は65日であった. 121例137件で X 線による留置時・留置後の先端位置評価が可能であった. 先端位置を Zone A: 上大静脈下半分と右心房上部, Zone B: 上大静脈上半分と左腕頭静脈合流部, Zone C: 左腕頭静脈に分類し, Zone A・B を適正位置とした. 右側では留置時33件 (100%), 留置後30件 (91%) が適正位置であったのに対し, 左側では留置時97件 (93%), 留置後82件 (79%) が適正位置で, 留置時と留置後では有意な変化を認めた (p=0.001). そのほかの合併症発生率に左右差は認めなかった.</p><p> 左側からの PICC 留置では上大静脈右側壁にカテーテル先端が当たり, Zone A への留置率が低い. さらに留置後の体位・肢位の変化により先端が移動し, 適正位置である Zone A・B に留まりにくい. 不適正な先端位置は遅発性の上大静脈壁損傷や血栓症を招くため, 右側からの PICC 留置が望ましいと考えられた.</p>

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