P-087 クリニカルリーズニング(臨床推論)の基礎としての論理的思考教育の試み

  • 中島誠
    国立療養所栗生楽泉園 リハビリテーション科

Description

<p>【背景】臨床実習や新人教育におけるケースレポートの作成に際し、多くの学習者にとってハードルになっているのが、収集したケースの情報から障害構造を把握するための「統合と解釈」であろう。学んできた知識と技術を活用しても、ケースについて「考えられていなかった」ことが露呈してしまう場面である。ここで必要となるのはクリニカルリーズニング(臨床推論)の能力と考えられるが、その教育は臨床実習や卒後教育にゆだねられているのではないだろうか。理学療法教育ガイドライン第1 版に記載されたコア・カリキュラムでは、「リーズニング」はEBPT と同項目にされ、到達目標は「キーワード認識レベル」に過ぎない。臨床推論能力が不十分な者にとってケースレポートの作成は貴重な学習チャンスだが、実習の負担軽減を理由にケースレポートを課さない養成校も存在する。また、臨床推論の基礎となる論理的思考の教育として、高等学校では数学Iの「集合と論理」が該当すると考えられるが、入学試験に数学を課さない養成校も多く存在する。</p><p>【目的】論理的思考を苦手とする理学療法士に対し、ある程度の助言・指導のもとに担当患者のケースレポートを完成させられる能力を育てる。</p><p>【介入方法】 認知バイアスによる誤診について知る目的で「医者は現場でどう考えるか(ジェローム・グループマン)」を読んでもらい、論理的思考力を向上させる目的でNHK 高校講座「ロンリのちから」を視聴してもらう。対象者には説明と同意を得た。</p><p>【結果】 介入前は初期評価開始からケースレポート完成まで11 カ月を要したが、介入後は別患者の初期評価開始からケースレポート完成まで5 カ月であった。</p><p>【考察】障害構造をチャート(概念地図)化するには、まず基礎として因果関係を理解できる論理的思考力が必要となる。指導される理学療法士のレベルを把握して基礎に立ち戻り、能力に合った教材を利用したことが効果的であったと考える。</p>

Journal

Details 詳細情報について

  • CRID
    1390287363457811072
  • NII Article ID
    130007997549
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.35.0_271
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

Report a problem

Back to top