P-072 脊椎圧迫骨折患者における理学療法開始時期の違いが在院日数と理学療法経過に及ぼす影 響

DOI
  • 穂谷優二
    新座志木中央総合病院 リハビリテーション科
  • 志田康成
    TMG 宗岡中央病院 リハビリテーション科
  • 守屋智史
    新座志木中央総合病院 リハビリテーション科
  • 柳英利
    国立循環器病研究センター 心血管リハビリテーション科

抄録

<p>【目的】脊椎圧迫骨折(圧迫骨折)は治療上の安静臥床が必要となるが,安静臥床の至適期間や理学療法の開始時期の明確な指標はあまり知られていない.そこで,本研究の目的は圧迫骨折患者における理学療法開始時期の違いが在院日数と理学療法経過に及ぼす影響を調査することとした.</p><p>【対象と方法】対象は2012 年7 月から2014 年7 月までに当院へ入院した圧迫骨折患者209 例のうち,歩行可能で保存的加療の後自宅退院となった109 例とした.入院後に理学療法を1週間以内に開始した群(A 群47 例)と1 週間以降に開始した群(B 群62 例)に分類し,患者背景(年齢,性別, BMI,骨折椎体数,入院前の移動形態),治療経過</p><p>(歩行練習開始日,歩行自立日),在院日数を比較検討した.統計解析はR version.3.2.1 を用い単変量解析にて2 群間を比較検討した.有意水準を5%とした.</p><p>【倫理的配慮】本研究はカルテから抽出した後ろ向き研究であり,個人が特定されるデータは残さず全て数値化し分析を行い,結果の公開は研究対象者のプライバシー保護に十分配慮した.</p><p>【結果】患者背景は有意差を認めなかった.治療経過は,A 群がB 群よりも歩行練習開始日(15.4±4.7vs17.2±4.1,p <0.05)が有意に早かったが,歩行自立日(22.5±7.3vs22.0±6.5) ,在院日数(35.7±16.0vs 38.1±18.6)では有意差を認めなかった.</p><p>【考察】A 群はB 群よりも早期に理学療法を開始したことにより廃用症候群を軽減し,歩行練習開始日が早くなったと考えられる.しかし, 歩行自立日および在院日数はA 群に有利な要因があるのにも関わらず,差を認めなかった.経過に影響する可能性のある患者背景に差がなかったことより,理学療法の開始時期や内容,自宅退院に向けた社会的環境調整等の未知の因子が在院日数へ寄与した可能性が考えられた.</p><p>【結論】早期の理学療法開始は,歩行練習開始日を早めるが,歩行自立病日や在院日数へは影響しない可能性を示</p><p>した.</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390287363460940160
  • NII論文ID
    130007997528
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.35.0_256
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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