P-046 福山型先天性筋ジストロフィーに対するGMFM の信頼性

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抄録

<p>【はじめに】福山型先天性筋ジストロフィー(FCMD)は大脳形成異常による知的障害を伴う筋ジストロフィーである.運動機能判定は上田分類(レベル0~8)が用いられているが,粗大運動能力を詳細に捉えることは難しい.粗大運動能力尺度(GMFM)は脳性麻痺に対する運動評価尺度として開発されたが,脊髄性筋萎縮症やDown 症候群など他の神経筋疾患でも妥当性が証明されている.そこで我々はFCMD 患者の能力をGMFM で評価し,その妥当性と有用性を報告した.本研究では検者間および検者内信頼性について検討を行った.</p><p>【対象と方法】対象は2013 年10 月から2015 年1 月までに当院入院中の0 歳7 ヶ月~16 歳11 ヶ月のFCMD 患者</p><p>17 名.全例にGMFM を実施し,患者家族の同意を得てビデオカメラで記録をした.内3 名は上田分類の運動機能レベルが異なる時期で2 回評価を行い,計20 回分の記録を行った.検者間信頼性では,GMFM 講習会を受講し,採点前に判断基準を再確認した経験年数2,5,8,29 年の理学療法士(PT)計4 名が,全ビデオ記録を採点した.検者内信頼性では,経験年数2 年のPT1 名が再度20 回分のビデオ記録を半年の期間をあけて採点した.統計学的処理はSPSS にて級内相関係数(ICC)を求めた.</p><p>【結果】検者間信頼性のICC は,項目ごとにA 領域:0.9739,B 領域:0.9898,C 領域:0.9954,D 領域:0.9979,E 領</p><p>域:0.9933,総合点:0.9961 であった.検者内信頼性の ICC は,項目ごとにA 領域:0.9821,B 領域:0.9948,C 領</p><p>域:0.999,D 領域:1,E 領域:0.9844,総合点:0.9978 であった.</p><p>【考察】今回の結果はFCMD に対するGMFM の全領域にて検者間および検者内信頼性が高いことを示している.GMFM を習得し,判断基準を確認したPT であれば経験年数に大きく左右されず,FCMD 患者に対してGMFM を使用できることが示唆された.今後FCMD の臨床や治験等での主要評価項目として期待できる.</p><p>【倫理と同意】本研究は東京女子医科大学倫理委員会の承諾を得て実施した.</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390287363462510720
  • NII論文ID
    130007997478
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.35.0_230
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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