治療関連骨髄異形成症候群を発症した頰粘膜癌の1例

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タイトル別名
  • A case of carcinoma of the buccal mucosa with the development of therapy-related myelodysplastic syndrome

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治療関連骨髄異形成症候群(t-MDS)は悪性腫瘍に対する化学療法や放射線治療後に赤血球,白血球および血小板に量的および質的異常を来たす病態である。今回われわれは,t-MDSを発症した頰粘膜癌の1例を経験したので報告する。<br>患者は57歳の男性で,左側頰粘膜の有痛性の腫脹および潰瘍に気付き当科を受診した。術前検査にて胃癌と下咽頭癌が認められ,胃癌に対しては内視鏡的粘膜下層剥離術が行われた。また,頰粘膜の生検の結果,中分化型扁平上皮癌と診断された。臨床診断は頰粘膜癌(T4aN2bM0,Stage Ⅳa)であった。S-1を2週間投与後,機能的全頸部郭清術,頰粘膜腫瘍切除術および前腕皮弁による再建術を施行した。病理組織検査の結果,腫瘍切除断端は陰性であったが,4つのリンパ節転移が認められた。そこで,頰粘膜癌の術後補助療法および下咽頭癌の化学放射線療法としてCDDP,DTXおよびS-1による多剤併用化学療法,S-1とX線による化学放射線療法を施行した。術後補助療法終了から4年後,発熱および汎血球減少を認め,末梢血中の骨髄芽球およびWT1 mRNAコピー数の増加が明らかになった。骨髄検査の結果,CD13,CD33およびCD34 陽性細胞が認められ,t-MDSと診断された。その後,化学療法としてアザシチジンの投与を11コース施行し,一時寛解するも汎血球減少が進行し死亡した。

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