「普請下絵図畳板」について ~近世の製図道具に関する考察~

  • 坂本 忠規
    公益財団法人竹中大工道具館 主任研究員 博士(工学)
  • 鎌田 正彦
    京都府教育庁文化財保護課重要文化財建造物保存修理嘱託員(大工)

書誌事項

タイトル別名
  • Report of the “Fushin Shitae-zu Tatami-ita ” : A Study of the Drawing Instruments in Pre-modern Period in Japan
  • 「 フシン シタエズジョウバン 」 ニ ツイテ : キンセイ ノ セイズ ドウグ ニ カンスル コウサツ

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抄録

本稿は新出資料である「普請下絵図畳板」に含まれている畳板と製図道具について、それぞれ資料紹介と評価を行い、あわせて近世的な製図技法と道具について考察を加えたものである。要点は次のとおりである。 1. 畳板は畳の縮尺1/20の模型で、大規模屋敷の平面計画に用いられたと考えられる。これまで紙製のものが知られていたが、本資料は木製でありかつ壁・敷居の位置を示す敷棒まで含まれており、貴重である。 2. 6点の製図道具はそれぞれ添軸、図引、突針の三種に分類され古様を残している。添軸とは毛筆と合わせて用いる製図補助具であり戦後まで一部の大工の間で使用されていた。図引は現在でいうところの烏口に相当する道具であることがわかった。 3. 本資料の使用年代は早ければ17世紀まで遡る可能性があるものの、製図道具の発達状況から勘案して19世紀前半頃、遅くても明治初期頃と推測した。

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