多房性嚢胞を有する耳下腺原発粘表皮癌の診断に 穿刺吸引細胞診が有用であった1例

DOI
  • 弘田 大智
    神戸市立医療センター西市民病院 臨床検査技術部
  • 村井 志織
    神戸市立医療センター西市民病院 臨床検査技術部
  • 井上 友佳里
    神戸市立医療センター西市民病院 臨床検査技術部
  • 中 彩乃
    神戸市立医療センター西市民病院 臨床検査技術部
  • 岡村 俊佑
    神戸市立医療センター西市民病院 臨床検査技術部
  • 吉田 澄子
    神戸市立医療センター西市民病院 臨床検査技術部
  • 山下 展弘
    神戸市立医療センター西市民病院 臨床検査技術部
  • 岡林 美鈴
    神戸市立医療センター西市民病院 病理診断科
  • 勝山 栄治
    神戸市立医療センター西市民病院 病理診断科

書誌事項

タイトル別名
  • Diagnosis of mucoepidermoid carcinoma forming a largemultilocular cyst in the parotid gland with fine needleaspiration cytology: A case report

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抄録

粘表皮癌(mucoepidermoid carcinoma:MEC)は全唾液腺腫瘍の5%と比較的稀な腫瘍である。MEC は病理組織 学的に粘液産生細胞、類表皮細胞(扁平上皮細胞)、未分化な小型の中間細胞の3種類から構成されており、その比 率や細胞分化の程度により様々な形態を呈し、嚢胞形成もよくみられる。唾液腺腫瘍の診断において穿刺吸引細胞診 は重要な役割を果たしているが、嚢胞を形成する腫瘤に対しての正診率は高くない。今回、われわれは大きな多房性 嚢胞を有するにも関わらず、穿刺吸引細胞診でMEC を疑えた1例を経験したので報告する。 症例は50 歳代、男性。左耳下部腫脹増大を主訴に来院し、各種画像検査では隔壁を有する嚢胞と充実部からなる悪 性腫瘍が疑われた。超音波検査を併用した充実部の穿刺吸引細胞診では、軽度重積した上皮細胞集塊の中に、粘液を 有する細胞や中間細胞、扁平上皮様の細胞を認め、MEC を疑った。切除標本では、粘液産生上皮を主として中間細 胞に相当する細胞の混在した増生であり、粘表皮癌と診断した。

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