行政・地域包括支援センターの連携強化に向けた介護予防勉強会の開催

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抄録

<p> 【はじめに】</p><p> 「顔の見える関係」は,「考え方や価値観,人となりが分かり,信頼感をもって一緒に仕事ができる関係」といった意味があり,「基本方針の明確化とその共有」を表す「規範的統合」と共に地域包括ケア推進に資する連携強化の基盤となる。館山市では,介護予防事業として,住民運営による体操教室の立ち上げ支援を高齢者福祉課が中心となり,健康課,地域包括支援センターと連携をとりながら実施している。今回は,三者の連携を強化し,介護予防事業の充実を図ることを目的として,介護予防勉強会「地域包括ケア時代の介護予防」を開催したので,ここに報告する。</p><p> 【方法】</p><p> 平成31年3月29日に,高齢者福祉課・健康課および地域包括支援センターの職員16名(保健師10名,看護師1名,社会福祉士2名,介護支援専門員1名,事務職2名)を対象に勉強会を実施した。勉強会は,講義とアンケートとし,講師は介護予防推進リーダーが務めた。講義の内容は,館山市の人口問題,介護予防の定義,間接的アプローチ・地域支援,地域包括ケア時代の介護予防の考え方,住民主体で介護予防を進めるためのポイントなどとした。講義内容の理解度と介護予防事業に取り組む上での課題(以下,課題)についてのアンケートを実施した。講義の理解度は,選択肢で評価した。課題は,自記式質問紙法にて行い,記述内容を整理しカテゴリー分けした。その後,課題に対し,行政担当者と介護予防推進リーダーが,連携の強化に向けた対策を立案した。</p><p> 【結果】</p><p> 講義の理解度は,わかった11人,知っていた5人,わからなかった0人であった。課題は,「住民リーダーに関する問題」が13件,「依存的・否定的・無関心な住民への対応」が9件,「他に抱えている業務の影響で介護予防事業への協力が困難」が5件,「週1回開催の難しさ」が3件,「庁内での情報共有が不十分」と「活動・参加への結びつきにくさ」が2件,「人間関係が複雑な地域の支援が困難」,「参加者の移動手段の問題」が1件,「活動しているグループへのフォローが不十分」と「自律的拡大の難しさ」が1件であった。</p><p> 【結論】</p><p> 勉強会を通し,介護予防のアウトラインの共有は図れたが,事業として運用するためのディテールの捉え方にばらつきがみられた。また,行政区毎に介護予防事業の進捗や住民の理解・態度が異なるため,状況に応じた対応が必要と考えた。そして,各職員の業務内容や介護予防事業に対する考え方を把握し,連携しやすい事業の運用方法を検討する必要があると考えた。連携を強化するための対策は,「現在作成を進めている介護予防事業実施マニュアルに課題の対応方法を盛り込み,全体で共有する機会を設けること」「各職員を対象に相談や意見交換の場を設け,事業の運用に反映させること」であった。これらの対策により,顔の見える関係づくりと規範的統合を進め,部門や機関の壁を越えた連携体制の構築につなげたい。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390287540628476288
  • NII論文ID
    130008012085
  • DOI
    10.14900/cjpt.47s1.i-9
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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