アセクシュアル研究におけるセクシュアルノーマティヴィティ(Sexualnormativity)概念の理論的意義と日本社会への適用可能性
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- 松浦 優
- 九州大学大学院
書誌事項
- タイトル別名
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- The Concept of Compulsory Sexuality: Theoretical Meaning and Applicability to Japanese Society
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説明
<p>近年の英語圏におけるアセクシュアル研究では、正常な人間ならば他者へ性的に惹かれるのが当然だという思い込みを批判する概念として、「セクシュアルノーマティヴィティ(sexualnormativity)」という概念が提起されている。しかし現在の日本ではアセクシュアルに関する研究はまだ少ないため、はじめにセクシュアルノーマティヴィティに関する英語圏の先行研究を整理する。次にセクシュアルノーマティヴィティ概念の導入によって、セクシュアリティに関する理論的枠組みの改訂を試みる。具体的には、性をめぐる近代的な力学を「権力関係を含んだ性別二元制」と「セクシュアルノーマティヴィティ」を両輪として構成されているものとして捉え、ヘテロノーマティヴィティをこの力学の内部で析出される現象と位置づける。また、セクシュアリティという概念装置が、女性の経験だけでなく、性交渉へと結びつかないセクシュアリティをも「抹消」してきたことを指摘し、後者の「抹消」を「性欲の性交欲化」と名付ける。これによって、セクシュアリティと親密性との間の癒着をより適切に理論化できると考えられる。最後に、セクシュアルノーマティヴィティ概念が新たな研究領域を切り開く可能性について、〈オタク〉研究を事例に検討する。</p>
収録刊行物
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- 西日本社会学会年報
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西日本社会学会年報 18 (0), 89-101, 2020
西日本社会学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390287540628830336
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- NII論文ID
- 130008012712
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- ISSN
- 24344400
- 1348155X
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可