水害時の避難へのモチベーションに影響を及ぼす情報提示内容についての実験的検討

  • 稲葉 緑
    電気通信大学 大学院情報システム学研究科
  • 田中 健次
    電気通信大学 大学院情報システム学研究科

書誌事項

タイトル別名
  • Experimental Study of Information Influencing Evacuation Judgments in Danger of Flooding
  • スイガイジ ノ ヒナン エ ノ モチベーション ニ エイキョウ オ オヨボス ジョウホウ テイジ ナイヨウ ニ ツイテ ノ ジッケンテキ ケントウ

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説明

<p>本研究では、河川氾濫の危険まで時間的猶予がある状況において、現在配信されている情報に補助的に追加して配信した情報が市民の避難に対するモチベーションにどのように影響するのか、実験的に検討した。模擬的な水害時の避難判断課題を実施し、パソコン画面に提示される情報をもとに避難するか待機するかを被験者に判断するよう教示した。実験1では、現在配信されている避難勧告情報・河川情報・天気予報を提供したときと、これに安全避難までの推定残り時間、ならびに避難人口割合を追加的に提示した場合との避難選択率を比較した。実験2では、さらに避難人口割合の推移表示を加えたときの避難選択率を測定した。氾濫する危険までの時間が長いシナリオにおいて避難選択を促したのは、避難人口割合、ならびにその推移情報であった。ただしこの効果は、避難人口が緩やかに上昇する場合には確認できなかった。一方、避難可能推定残り時間の補助的表示は、この残り時間が急激に減少するときにのみ、避難選択率を大きく上昇させた。また、課題後半での避難選択率の低下より、残り時間情報はフォルスアラームによる信頼低下の影響を受けやすい可能性が推測された。本研究の結果は、今回提供した補助的情報のどれも、市民の避難選択を促進する効果があることを示唆したと同時に、提供にあたっては十分な注意を必要とする場合もあることを明らかにした。</p>

収録刊行物

  • 災害情報

    災害情報 9 (0), 127-136, 2011

    日本災害情報学会

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