『即身成仏義』「六大」説成立の根拠

書誌事項

タイトル別名
  • A Study on the Grounds of Established Roku-Dai (Six Elements) in <i>“Sokushinjobutsu-gi”</i>
  • 『 ソクシンジョウブツギ 』 「 ロクダイ 」 セツ セイリツ ノ コンキョ

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抄録

<p> 『即身義』に説かれる六大説の典拠については、これまで顕教の五大説・六界説や『大日経』「住心品」の一切智智に関する五大の譬喩が取り上げられてきた。しかし『即身義』そのものが典拠として引用するのは『大日経』「具縁品」に見られる「我覚本不生」等の句である。これは大日如来自身が自らの覚りの内証を語ったものであるが、それが五字真言(満足一切智智明)の五字の字義によって示されている。その五字はまた、五字厳身観において行者の身体五箇所に布置され、大日如来と瑜伽するための観想に用いられるが、また同時に五大にも配当される。即ち五字の字義を内証として覚る大日心王が識大であり、その内証が五大ということになる。『大日経』『大日経疏』における大日如来の法界建立は、衆生済度のための六道随類の身(化身)を出現させるものであるが、空海はそれを世界そのものの建立に読み替えることで、世界の能生・法界体性へ転化させた。</p>

収録刊行物

  • 智山学報

    智山学報 69 (0), 51-68, 2020

    智山勧学会

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