三種即身成仏について

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タイトル別名
  • On the Interpretation of Sanju-Sokushin-Jobutsu(三種即身成仏)in Shingon Buddhism
  • サンシュ ソクシンジョウブツ ニ ツイテ

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抄録

<p> 東密に伝わる「三種即身成仏正意」は、異本『即身成仏義』に説かれる三種即身成仏のどれが「即身成仏」の正当な理解であるのかを問う論義である。しかしながら、異本『即身義』では、三種即身成仏すべてを用いて「即身成仏」が説明されていることから、この論義そのものの意義を疑う意見もある。</p><p> この「三種即身成仏のいずれが正意であるのか」という問題意識は、済暹・実範・覚鑁・道範といった諸師の著作には見出せない。その一方で、道範の頃あたりから「自宗不共の即身成仏は三種即身成仏のどれか」という議論が見られるようになっている。</p><p> 頼瑜は著作の中で正本『即身義』の二頌八句と異本『即身義』の三種即身成仏との配釈を問題にしており、その中に今の問題意識につながる契機をうかがうことができる。</p><p> このように「三種即身成仏正意」という論義は、「自宗不共の即身成仏」という問題意識と連動する形で頼瑜の頃あたりから議論されるようになったと考えられる。</p>

収録刊行物

  • 智山学報

    智山学報 69 (0), 239-255, 2020

    智山勧学会

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