頸間隙を介さず胸鎖乳突筋内を進展した頸部膿瘍の1例

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タイトル別名
  • A CASE OF NECK ABSCESS PROGRESSING THROUGH THE STERNOCLEIDOMASTOID, NOT THROUGH THE NECK SPACE

抄録

<p> 症例は42歳男性。 左耳下部腫脹と疼痛を主訴に当科を紹介受診した。 初診時血液検査では WBC 11,900/μL, CRP 39.87mg/dL と炎症所見の上昇と, 頸部造影 CT で左上内深頸リンパ節の腫脹および中心壊死とそれに続く胸鎖乳突筋内の膿瘍形成を認めた。 喉頭浮腫は認めず, 膿瘍の穿刺吸引とアンピシリン/スルバクタムの点滴静注にて治療を開始したが改善なく, 翌日膿瘍切開排膿術を施行した。 胸鎖乳突筋を切開すると膿瘍腔を認め, 副神経流入部位から上内深頸リンパ節へ交通を認めた。 術翌日より炎症所見と頸部所見ともに改善を認め, 術後23日目に退院となった。</p><p></p><p> 一般的に深頸部感染は頸間隙を介して周囲に波及し, 膿瘍へと発展する。 また, 筋肉内膿瘍は下肢を中心に報告があるが, 頸部ではわずかな報告しか存在しない。 本症例では通常の頸間隙を介さずリンパ節炎から血管・神経が胸鎖乳突筋を貫通部位より筋内へ膿瘍が波及, 進展した症例であり, 感染経路を含め稀である。</p><p></p><p> 頸部膿瘍の診療にあたり, 頸間隙以外の進展経路も考慮に入れた手術計画が必要である。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390287696160447360
  • NII論文ID
    130008025079
  • DOI
    10.11453/orltokyo.63.2_66
  • ISSN
    18836429
    03869687
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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