小児精索静脈瘤に対する顕微鏡下精索静脈低位結紮術の治療成績の検討

書誌事項

タイトル別名
  • Results of Microsurgical Inguinal or Subinguinal Varicocelectomy in Children and Adolescents
  • ショウニセイサクジョウミャクリュウ ニ タイスル ケンビキョウ カセイサクジョウミャク テイイ ケッサツジュツ ノ チリョウ セイセキ ノ ケントウ

この論文をさがす

抄録

<p>【目的】当科では精索静脈瘤に対して2008年に顕微鏡下手術を導入してから,2010年に超音波ドプラ血流計による精巣動脈の同定を,2012年にインジゴカルミン液によるリンパ管の同定を開始した.治療方法確立後の治療成績に関して検討した.</p><p>【方法】当科で2012年8月~2019年12月までの7年5か月間に経験した精索静脈瘤の顕微鏡下手術症例に関して後方視的に検討した.なお,両側手術例,他疾患同時手術例,鼠径部手術既往例,術後経過観察期間3か月未満の症例,器械不具合例は除外した.</p><p>【結果】症例は36例で,患側は全例左側だった.年齢は中央値12歳(10~16歳)で,静脈瘤の分類はGrade 2が6例,Grade 3が30例だった.アプローチは鼠径管下[鼠径管外]が16例,鼠径管内が20例だった.手術時間は平均132.5分(83~209分)だった.全例で精巣の術後萎縮は認めず,再発例は1例(2.8%)で,精巣水瘤の発症例はなかった.Catch-up growthは60%で認めた.</p><p>【結論】顕微鏡下精索静脈低位結紮術は他の術式と比べて低侵襲であり,鼠径部切開は小児外科医・小児泌尿器科医には慣れたアプローチであること,超音波ドプラ血流計での動脈同定やインジゴカルミン液でのリンパ管同定により安全性・根治性は確保できること,新生児・乳幼児手術の経験があれば顕微鏡下手術に慣れるのはより容易と考えられることから,推奨できる術式である.治療成績に関しては,catch-up growthを60%に認め,再発率は極めて低かった.有症状例や患側精巣容積が小さい症例では顕微鏡下手術が勧められる.</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ