霊長類研究所のニホンザル繁殖集団若桜群における産子数の解析

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タイトル別名
  • Demographic analysis of the Wakasa Group, Japanese macaque breeding colony of PRI, Kyoto University

抄録

<p>1967年に設立された京都大学霊長類研究所では、実験利用するニホンザルを自家繁殖している。野生のニホンザルには生息地域ごとに遺伝的な違いがあり、その遺伝的特徴を維持するために、主に初期に日本各地で有害獣とされて捕獲したニホンザル地域群をそのまま繁殖の創始群とした。それ以降、各地域群には新しい個体を導入することなく30〜50頭程度の閉鎖集団としてオープンエンクロージャー(放飼場)で維持してきている。放飼場で誕生した個体の一部は繁殖集団の維持のために母系の偏りを減らすよう配慮しつつ残し、それ以外の個体は雌雄ともに間引きを行い、形態学、行動科学、神経科学などの実験研究に供している。 現在では、母系で数えて第8 世代の個体まで誕生している。ニホンザル若桜群は、鳥取県八頭郡若桜町から1974年に導入されたメス12頭、オス9頭を起源とし、2020年7月21日現在50頭(4歳以上のメス20頭、4歳以上のオス9頭、4歳未満の個体21頭)からなる飼育群である。近年、我々は若桜群の中に、顔貌や関節に特異な症状を示す個体を発見し、その個体が常染色体潜性遺伝病の一種であるムコ多糖症I型(MPSI) を発症していることを確認した。さらに発症の原因であるIDUA遺伝子のSNPの特定に成功し、人類進化モデル研究センターに保管されたDNA試料を用いてヘテロ個体の同定、家系解析に取り組んでいる。本研究では、これまでの若桜群のメスザルごとの総産子数、年間産子数、母系家系の年間産子数と消長、父子判定済み個体に関するオスザルの年間産子数などを算出し、若桜群の飼育歴、繁殖歴、2002年10月に実施した群の分割、幼若個体個体の間引き、MPSI発症個体の出現との関係や群内での繁殖に関する競合について考察する。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390287783176726272
  • NII論文ID
    130008029046
  • DOI
    10.14907/primate.36.0_27_1
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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