属間交雑の可能性があるアフリカ産霊長類2種の遺伝解析
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- 上田 悠一朗
- 東邦大・理
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- 本郷 峻
- 京都大・アフリカセンター
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- Akomo-Okoue Etienne-François
- ガボン熱帯生態学研究所
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- 井上 英治
- 東邦大・理
書誌事項
- タイトル別名
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- Genetic analysis of possible intergenic hybridization between two African primates
抄録
<p>霊長類の種間交雑は、マカクやヒヒを中心に野生下でも確認されており、属間での交雑も報告されている。 ガボン共和国ムカラバ・ドゥドゥ国立公園において、マンドリル(Mandrillus sphinx)とシロエリマンガベイ(Cercocebus torquatus、以下マンガベイ)の交雑個体と思われる個体が自動撮影カメラで確認された。 本研究では、マンドリルの群れ、マンガベイの群れ、両種の混群が利用していた場所から、群れの移動直後に採取した糞56サンプルを用いて、遺伝解析を行った。核ゲノム上のCD4、ψη-δ globin intergenic(以下Psi)の塩基配列と、α 1,3 GT(以下GT)内のマンドリル属内にある9塩基の欠失の有無をPCR で確認し、 35サンプルで、3領域すべての結果を得ることができた。Psiでは7ハプロタイプ、CD4では12ハプロタイプが検出され、登録配列も含むハプロタイプネットワークから、マンガベイタイプかマンドリルタイプかを推定した。マンドリルの群れ由来の3サンプルすべてがマンドリルタイプであったのに対し、マンガベイの群れ由来の18サンプルのうち16サンプルはマンガベイタイプで2サンプルはマンドリルタイプであった。 混群由来の15サンプルでは、1サンプルがマンガベイの、11サンプルがマンドリルのタイプであり、残り2サンプルは交雑由来のDNAであると推定された。糞由来のDNAであるため確証は難しいが、遺伝解析においても属間交雑が生じていることが示唆された。また、交雑個体の遺伝子型から、雑種第二代以降であると推定された。本研究では、ミトコンドリアDNAのシトクロムb領域の塩基配列が一部のサンプルで決定できなかったため、母系を推定できなかったが、今後、交雑が確認されたサンプルなどを詳細に解析することで、属間交雑についてより詳細に解明されることが期待できる。</p>
収録刊行物
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- 霊長類研究 Supplement
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霊長類研究 Supplement 36 (0), 33-34, 2020
日本霊長類学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390287783176740864
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- NII論文ID
- 130008029189
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可