基底細胞母斑症候群に伴う上顎骨歯原性角化嚢胞に対し鼻内内視鏡下に嚢胞を開窓した例

DOI Web Site 参考文献12件 オープンアクセス
  • 森下 裕之
    三重大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科
  • 久保 寿美
    三重大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科
  • 加藤 千明
    三重大学大学院医学系研究科生命医科学専攻臨床医学系講座口腔・顎顔面外科
  • 黒原 一人
    三重大学大学院医学系研究科生命医科学専攻臨床医学系講座口腔・顎顔面外科
  • 竹内 万彦
    三重大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Odontogenic Keratocyst with Nevoid Basal Cell Carcinoma that Was Treated by Endoscopic Endonasal Surgery

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説明

<p>基底細胞母斑症候群(Nevoid basal cell carcinoma syndrome:以下NBCCS)はGorlinらによって報告された,掌蹠小陥凹,二分肋骨,先天異常,大脳鎌の石灰化などの徴候や,基底細胞癌,歯原性角化嚢胞,髄芽腫などにおける易腫瘍形成性を特徴とする症候群である。今回,NBCCSに合併した歯原性角化嚢胞に対して鼻内内視鏡下に開窓した症例を報告する。</p><p>症例は14歳男児で,初診1週間前より左頬部腫脹を自覚した。近医耳鼻咽喉科を受診し,精査加療目的に当科を紹介受診した。口唇口蓋裂の手術歴があり,身体所見としては左上顎骨の腫脹の他,手掌の小陥凹や眼間開離などNBCCSに特徴的な所見を認め,左鼻内は外側壁の腫脹にて閉塞していた。副鼻腔単純CT,MRIにて両上下顎骨に多発する嚢胞性病変を認め,大脳鎌の石灰化も認めた。以上より,NBCCSと確定診断し,症状を来している左上顎骨の嚢胞に対して手術を施行した。手術は術後の機能温存を考慮して鼻内内視鏡手術を選択し,中鼻道より上顎洞を経由して嚢胞を開窓したのちに,下鼻道からも対孔を作成して開窓した。術後に腫脹は軽快し,圧迫症状も消失し,嚢胞の開窓も維持できている。</p><p>NBCCSは希少な疾患であるが,診断基準を理解し,高頻度に認められる所見を把握することで,その可能性を考慮して早期診断に努めることが重要である。また,上顎骨の歯原性角化嚢胞に対して鼻内内視鏡下に開窓を行うことで,QOLの低下を防ぎつつ症状の改善を得ることができ,NBCCSに合併した症例に対しても同等の効果を得られる可能性がある。</p>

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