蝶形骨洞から進展したスエヒロタケ(<i>Schizophyllum commune</i>)による中枢神経系真菌症例

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タイトル別名
  • A Case of Central Nervous System Infection Due to <i>Schizophyllum commune</i>

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<p>はじめに:近年,スエヒロタケ(Schizophyllum commune)による感染の報告が増加してきており新興病原菌の一つとして注目されつつある。今回,蝶形骨洞から進展したと考えられるスエヒロタケによる中枢神経系真菌症を経験したので報告する。症例:69歳女性,20XX年11月より右顔面の違和感を自覚した。その後,右三叉神経第2,3枝領域の疼痛が出現し,次第に第1枝領域にも広がり,ふらつき・右難聴も出現した。発症1ヵ月後に近医脳神経外科にて頭部MRI施行したところ右小脳橋角部と右蝶形骨洞に占拠性病変を認めた。脳腫瘍を疑われ当院脳神経外科に紹介され,精査のために発症2ヵ月後に入院した。穿頭手術による小脳橋角部の生検を検討されたが,より侵襲の少ない右蝶形骨洞病変の生検を先行させる方針となり当科で内視鏡下副鼻腔手術を施行した。蝶形骨洞を開放したところ乾酪様物質を認め除去したが,髄液漏や硬膜の露出は認めなかった。病理組織結果からはアスペルギルスが疑われた。その後も症状が続くため脳神経外科で穿頭術施行したところ,小脳橋角部の硬膜下に膿瘍を認め,やはり病理組織検査でアスペルギルスが疑われた。確定診断のため遺伝子シークエンスを他施設に依頼したところスエヒロタケと判明した。以上から,蝶形骨洞から進展したスエヒロタケによる中枢神経系真菌症例と診断した。アムホテリシンBで効果を認めず,ボリコナゾール投与で効果を認めたものの有効血中濃度の管理が重要であった。</p>

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