P-1-F15 重症心身障害児施設におけるパラインフルエンザ4型感染

  • 井合 瑞江
    独立行政法人 神奈川県立病院機構 神奈川県立こども医療センター 神経内科
  • 安西 里恵
    独立行政法人 神奈川県立病院機構 神奈川県立こども医療センター 神経内科

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説明

はじめに ヒトパラインフルエンザウィルス(HPIV)は気道感染の原因としてよく知られているが、1、2、3型の報告がほとんどで4型感染については未だ不明な点も多い。今回、われわれは一病棟内の半数以上が気道症状を呈したアウトブレイクを経験した。その経過を報告し、臨床像の特徴や対応について検討した。 対象 当重症児者施設(40床)において7月末より一定期間に発熱・気道症状等の感染症に罹患した入所者22例。年齢は3歳〜35歳、横地分類のB4が1例、他はA1に属す。基礎疾患にミトコンドリア病、DRPLA、奇形症候群1例づつ、脳奇形2例、他は低酸素性虚血性脳症・脳炎脳症後遺症、脳性麻痺である。 結果 臨床症状は発熱(100%)、咳嗽20例(90%)、SpO2低下8例(35.9%)、喘鳴4例(18.2%)、軟便は2例にみられた。呼吸状態が重症化した2例が人工呼吸器療法を必要とした。発熱日数は重症化症例以外は1〜2日で、最高体温は37度〜39度台とばらつきが多く、ワンピークまたは解熱後に再発熱するパターンであった。白血球やCRPの上昇は軽度〜中等度であった。胸部レントゲンでは14例中6例に肺炎または無気肺所見がみられた。 3例が発熱した日よりICT介入、コホートと防護具導入を開始した。交差感染防止への追加対策が必要であり、収束に40日を要した。 診断は、鼻咽頭吸引物を用いたmultiplexPCRにより5例中2例がHPIV4型陽性であった。また、ペア血清による抗体価上昇(HI)を20例中7例に認めた。 結論 重症心身障害児者のHPIV4型感染は多くは軽症上気道炎症状にとどまったが、喘息や反復気道感染を基礎にもつ場合は下気道感染、無気肺から人工呼吸器療法を要する重症化が容易にひきおこされた。不顕性感染も多いとされる型のため、院内感染防止対策がより一層必要となるウィルスであると思われた。

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