O-1-C13 著明な膵石灰化を伴う慢性膵炎を合併した著明な膵石灰化を伴う慢性膵炎を合併した重症心身障害者の一例

  • 大森 啓充
    独立行政法人 国立病院機構 柳井医療センター 小児科
  • 福原 崇之
    広島大学病院 消化器・代謝内科
  • 山崎 雅美
    独立行政法人 国立病院機構 柳井医療センター 神経内科
  • 村田 芳夫
    独立行政法人 国立病院機構 柳井医療センター 神経内科
  • 福場 浩正
    独立行政法人 国立病院機構 柳井医療センター 神経内科
  • 竹本 将彦
    独立行政法人 国立病院機構 柳井医療センター 外科
  • 池田 政宣
    独立行政法人 国立病院機構 柳井医療センター 外科
  • 松本 信夫
    独立行政法人 国立病院機構 柳井医療センター 内科
  • 田中 彰一
    独立行政法人 国立病院機構 岩国医療センター 消化器内科
  • 住元 了
    独立行政法人 国立病院機構 柳井医療センター 外科

この論文をさがす

説明

慢性膵炎は、膵内部に不規則な線維化、細胞浸潤、実質の脱落、肉芽組織などの慢性変化が生じ、進行すると膵外分泌・内分泌機能の低下を伴う病態で、腹痛や腹部圧痛などの臨床症状、膵内・外分泌機能不全による血中または尿中膵酵素値の異常などの臨床症候を伴うものが典型的であるが、無痛性あるいは無症候性の症例も存在する。一方、重症心身障害児(者)では、てんかん合併の頻度は、約40−60%と著しく高く、発作型や臨床症状が把握されにくいため、治療に抵抗性の難治性であることが多い。今回、脳性麻痺、最重度精神発達遅滞、難治性てんかんで長期入院中であった重症心身障害者に、著明な膵石灰化を伴う慢性膵炎を合併した一例を経験した。臨床的には、腹痛などの消化器症状はなく、無症候性で、腹部単純X線検査で上腹部に石灰化像を認め、腹部エコー検査では、膵実質の菲薄化、膵石灰化、主膵管拡張を認め、腹部CTスキャン検査では、膵全域にわたり粗大な石灰化が多発し膵実質は萎縮しており、膵体部に径9 mmの主膵管の拡張所見を認めた。慢性膵炎臨床診断基準2009に従い、特徴的な画像所見である、びまん性の膵石灰化、膵萎縮・主膵管拡張などから慢性膵炎と確定診断した。血液検査では、血中の膵酵素値の異常はなく、膵内・外分泌機能はほぼ保たれていた。また、腫瘍マーカーは、特に異常はみられず正常範囲であった。本症例では、難治性てんかんでバルプロ酸ナトリウム(VPA)を含む多剤療法を幼小児期から長期にわたって行われており、慢性膵炎の原因として、薬剤性が強く示唆された。てんかんを合併し、特にVPAを含む多剤併用療法をせざるを得ない重症心身障害児(者)では、慢性膵炎にも十分注意する必要があると思われた。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ