救急隊員の惨事ストレスの実態とその対策に関する研究

書誌事項

タイトル別名
  • STUDY OF ACTUAL SITUATIONS AND MANAGEMENT OF CRITICAL INCIDENT STRESS FOR EMERGENCY CREWS
  • 救急隊員の惨事ストレスの実態とその対策に関する研究 : 家族との関わりに着目して
  • キュウキュウ タイイン ノ サンジ ストレス ノ ジッタイ ト ソノ タイサク ニ カンスル ケンキュウ : カゾク ト ノ カカワリ ニ チャクモク シテ
  • ― FOCUSING ON RELATIONSHIP WITH FAMILY MEMBERS ―
  • —家族との関わりに着目して—

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抄録

<p>目的:消防職員は大規模災害時の活動だけでなく,日常的にも消防・救急・救助などの災害現場において悲惨・凄惨な場面に遭遇する機会が多く,このような現場活動に従事することから生じる惨事ストレスへの対応は,消防業務上,重要な課題となっている。このような中で,最も身近な存在である家族との関わりに着目し,消防現場における惨事ストレスの実態,コーピングおよびソーシャル・サポートの状況を把握するとともに,惨事ストレス対策における課題や対応を明らかにすることを目的とする。</p><p>方法:A消防局の2015年中の救急出動事案のうち,「災害救援者にとって重要なストレッサー」が複数該当する傷病者の死亡・重症事案等を抽出し,これらに従事した救急隊員38名を対象とした。対面による心理的影響調査およびストレス解消法の調査を行い,その結果を踏まえて,コーピングおよびソーシャル・サポート等についての半構造化インタビューを実施した。</p><p>結果:「その後の経過に配慮することが望まれる者」2名を含めて,63.2%にあたる24名に一定の急性ストレス反応が見られた。コーピングにおいては,12名(31.6%)が家族との会話を選択している一方,34名(89.5%)が同僚等との会話を選択していた。ソーシャル・サポートについては,37名(97.4%)がサポートを知覚しており,それらのすべての者がサポートを「効果がある」と評価し,今後も継続してサポートを受けたいとした。また,今回の調査では,家族との会話において,守秘義務や家族への心理的配慮などの抑制要因があることが明らかとなった。</p><p>結論:日常的な救急活動における惨事ストレスの実態が明らかとなり,家族との関わりに着目した中で,コーピングの傾向や課題,ソーシャル・サポートの重要性などが示された。とりわけ,惨事ストレス対策を進めていく上で,家族との会話における抑制要因への対応やソーシャル・サポートの活用が重要であると考える。</p>

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