リボソーム翻訳系と修飾酵素を用いた非リボソームペプチド類似体の合成

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抄録

複数の抗生物質に耐性を示す多剤耐性菌による感染症は世界中で問題になっている.さらに,認可される抗生物質は過去数十年で減少しており,新たな抗生物質探索方法の開発は急務である.ペプチド性天然物である非リボソームペプチド(NRPs)は多彩な構造を有し,生理活性が期待できる.例えばバンコマイシンやダプトマイシンなどの抗菌NRPsが発見されており,NRPs類似化合物のライブラリーは,新規抗生物質の探索に有用であると考えられる.しかし,NRPs合成酵素は高い基質選択性を持つ巨大複合体であるため,酵素改変による多様性の高いNRPsライブラリー構築は未だ困難である.<br>一方で,リボソーム翻訳系翻訳後修飾ペプチド(RiPPs)は,DNAから転写・翻訳されたペプチドに翻訳後修飾酵素が化学修飾を導入することで合成される.RiPPsの翻訳後修飾酵素の多くは基質許容性が高く,さらに縮重塩基を持つDNAを用いることで,高多様性ペプチドライブラリーの構築が可能である.本稿では,ハイスループットスクリーニング系に適用可能なRiPPs合成系を用いて,抗菌活性を持つNRPs類似化合物を合成するアプローチに関する論文を紹介する.<br>なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.<br>1) Niquille D. L. et al., Nat. Chem., 10, 282-287(2018).<br>2) Zhao X. et al., Cell. Chem. Biol., 27, 1262-1271(2020).<br>3) Li Y. X. et al., Nat. Commun., 9, 3273(2018).<br>4) Urban J. H. et al., Nat. Commun., 8, 1500(2017).

収録刊行物

  • ファルマシア

    ファルマシア 57 (6), 543-543, 2021

    公益社団法人 日本薬学会

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