釧路湿原シラルトロ湖の水草生育初期と繁茂期の水質分布特性について

  • 中川 惠
    国立研究開発法人国立環境研究所
  • 岡本 実希
    東京大学大学院農学生命科学研究科
  • 赤坂 宗光
    国立研究開発法人国立環境研究所 東京農工大学大学院農学研究院
  • 高村 典子
    国立研究開発法人国立環境研究所 東京大学大学院農学生命科学研究科

書誌事項

タイトル別名
  • Horizontal distribution of water quality between early and dense water plant seasons in Lake Shirarutoro, Kushiro Wetland
  • クシロ シツゲン シラルトロコ ノ ミズクサ セイイク ショキ ト ハンモキ ノ スイシツ ブンプ トクセイ ニ ツイテ

この論文をさがす

抄録

<p> 水草の繁茂は湖沼水質に影響を及ぼすことが知られている。我々は富栄養化によりヒシが分布拡大しつつある2007~8年に,釧路湿原シラルトロ湖の40地点で水質を測定し,その分布特性を水草の生育初期(6月)と繁茂期(8月)で比較した。本湖では水草群落の繁茂は底層の低溶存酸素濃度と必ずしも対応しなかった。測定した20水質変数を用いて主成分分析を行った結果,いずれの時期も湖北から流出口に繋がる地点(A区)と湖南の湿地に隣接した地点(B区)に二分された。第一主成分で高い正の値を示した変数はK+,Ca2+,Na+,Cl-,Mg2+,D-Siで,逆に高い負の値を示した変数はDOP,DOC,DON,D-Feであった。A区は北からの小流入河川から高濃度のK+,Ca2+,Na+,Cl-の負荷の影響を,B区は隣接する湿地の影響を受けていると考えられた。第二主成分では富栄養化を指標するTP,TN,VS,Chl.aが大きい負の値を示した。6月と8月で主たる水質傾度への因子負荷量が明瞭に変わった変数はSRPとSO42-であった。湖内の水質は水草の生育初期も繁茂期も,流域の影響を強く受けた分布特性を示した。</p>

収録刊行物

  • 陸水学雑誌

    陸水学雑誌 81 (2), 137-152, 2020-05-20

    日本陸水学会

参考文献 (12)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ