書誌事項
- タイトル別名
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- Chronic Limb Threatening Ischemia: Current Trendsin Surgical Revascularization
- ジュウショウ カシキョケッショウレイ ニ タイスル Distal bypassジュツ ノ ゲンジョウ
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説明
包括的高度慢性下肢虚血 (CLTI: chronic limb threatening ischemia) の概念が2017年に示され, 2019年に世界の血管外科学会が共同でGVG (global vascular guideline) を作成しCLTIの治療指針が示された. この一連の流れの背景には, 糖尿病激増による下肢病変病態の多様化と血管内治療 (EVT) の進歩により従来の治療指針が実地臨床の実情に合わなくなったことがある. 現在, 世界的にCLTIの第一選択血行再建法は約75%がEVTとなり, 下腿から足部領域までEVTの適応は拡大を続けているが, CLTI治療における下腿動脈以下へのEVTとdistal bypassの位置付けについては, 一部の血管内治療医と血管外科医の考え方に相違がある. 本稿では, GVGの最新のCLTI治療指針を紹介し, 次いで当院でのdistal bypass治療成績から下腿動脈以下への2回以上のEVT治療は, 後に行われるdistal bypassの成績 (2年AFS, 2年グラフト開存率) に悪影響があることを明らかにした. 症例数が少なく後ろ向き研究であるため議論の余地はあるが, この結果は血管外科医が感じてきた下腿領域EVTの危険性を示すものである. CLTI治療における下腿動脈に対するEVTの適応は慎重であることが望まれる.
収録刊行物
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- 日本フットケア・足病医学会誌
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日本フットケア・足病医学会誌 2 (2), 59-68, 2021
一般社団法人 日本フットケア・足病医学会