入院中に経験した “友人の死” の受け止め:思春期患者への聞き取り調査

DOI
  • 佐々木 美和
    名古屋大学医学部附属病院小児がん治療センター/チャイルド・ライフ・スペシャリスト
  • 新家 一輝
    名古屋大学大学院医学系研究科総合保健学専攻/看護師
  • 畑中 めぐみ
    国立病院機構名古屋医療センター/看護師
  • 小島 勢二
    名古屋大学大学院医学系研究科小児科学専攻
  • 高橋 義行
    名古屋大学大学院医学系研究科小児科学専攻

書誌事項

タイトル別名
  • Acceptance of friend’s death during hospitalization: A qualitative research on adolescents

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抄録

<p>目的:入院中にできた友人を亡くした思春期患者の経験や思いを明らかにし,死別後の精神的なケアのあり方について検討する.方法:友人の死を経験した思春期患者6名(入院時10–18歳)を対象に,退院後,半構造化面接を実施し質的帰納的に分析した.結果:時間経過から3つの局面があり,13カテゴリーが抽出された.病棟の雰囲気の変化から,友人の死を察知していた対象者もいたが,不安な気持ちを自ら誰かに相談した者はいなかった.友人の死を知らされた時は,気持ちの揺れを感じていたが,全員が友人の死を知らされたことを肯定的に受け止めていた.そして,亡くなった友人の存在を心に留め,一歩を踏み出そうとしていた.友人の死と自身の予後を重ねた者はいなかったが,友人の死に関わらず,入院中の体調不良時に,漠然と自分の死を意識していた者はいた.死後の面会,葬儀への参列,亡くなった友人へのプレゼント作り等別れの儀式は,気持ちや思い出を共有する機会になっていた.考察:思春期は友人関係が重要であり,死に関することも含めて友人の情報は思春期患者と共有する必要があると考えられた.思春期は,健康でも生や死について様々な気持ちを抱えていることをくみ取り,日常から生や死についてタブー視せず,子どもたちと語り合える関係を築いていくことが大切である.また,亡くなった友人との思い出や気持ちを共有することは,死別後の子どもを支えることになると考えられた.</p>

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