三角形非構造格子におけるCIP/Multi-Moment有限体積法による浅水波方程式の数値モデル
書誌事項
- タイトル別名
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- A numerical model for shallow water equations on unstructured mesh using CIP/Multi-Moment finite volume formulation
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説明
近年,我々は高精度かつRobustな保存保障型の離散化手法であるCIP/Multi-Moment有限体積法の開発を行ってきており,現在までに構造格子および非構造格子への拡張,また時間積分方法としてSemi-Lagrange解法およびEuler解法を用いた定式化の構築に成功している.更に,様々な流体方程式への適用も行われており,良好な結果が得られている.浅水波方程式に対しても,特性に基づいたSemi-Lagrange解法を用いたCIP/Multi-Moment有限体積法による定式化が提案をしている.本論文では,新たな三角形非構造格子を用いた二次元浅水波方程式の解法として,Euler解法に基づくCIP/Multi-Moment有限体積法を用いた定式化を提案する.本手法では,セル内における物理量の積分平均値(VIA:Volume Integrated Average)に加え,三角形の各頂点および各辺の中点における物理量の値(PV:Point Value)をMomentとして定義し,これら計7個のMomentをそれぞれ独立変数として取り扱う.このように複数のMomentを一つのセル内に定義することで、これらを用いて局所的に高次補間関数を構築することが可能となる.本論文では,二次元二次補間関数を構築するが,補間関数の係数を決定する際に用いるマトリックスを解析的に求めるため,補間関数に面積座標を用いる.二次元二次補間関数を構築するのに必要な6つの拘束条件として,セル内のVIA,各頂点のPV,また独立変数としてではなく,セルに配置されたMomentより陰的に評価されたセル中心のx,y方向の勾配を用いている.Multi-Momentの概念に基づく手法では種類の異なるMomentに対しそれぞれ異なる定式化の元で時間発展させることができる.VIAに対しては保存則に則したFlux-Formの定式化を行うことで,保存を保障させた時間発展を行い,PVに対しては離散点において微係数を高精度かつ適合する様に評価する.具体的には微分値に対する局所的なRiemann問題を考慮することで支配方程式に則した定式化を行う.更に,海底勾配項をSource項として用いる際にC-Propertyと呼ばれる運動方程式の流束の空間微分項とSource項の間に成り立つ平衡状態を保持した定式化方法について提案する.具体的には水深と海底の起伏を加算した値である全水深を定義し,全水深に対して離散化手法を適用することで,C-Propertyを保持した定式化を行っている.本手法の検証を行うため,次に示す3種類のベンチマークテストを行った.まず三角形非構造格子への拡張の妥当性を示すため円柱ダム崩壊問題を行い,方向依存性が小さくまた衝撃波を正確な位置でシャープに捉えた結果を得た.次に障害物を含む場合のベンチマークテストとして開口部があるダム崩壊問題を行い,水深の等高線図および開口部付近の水深から評価して定性的に妥当な結果を得ることに成功した.最後に二次元におけるSource項の定式化に対する妥当性を示すために広く用いられる隆起を越す微小擾乱問題を行ったところ,非物理的な振動が見られない結果を得ることに成功し,先に述べたC-Propertyを保持した定式化であることを示した.本論文で提案したEuler解法に基づくCIP/Multi-Moment有限体積法は高精度かつRobustな計算手法であり,浅水波方程式に対する本定式化を用いることで河川や海岸における水面の挙動を高精度かつ高解像度に捉えることのできるシミュレーターを構築する事が可能になるだろう.
収録刊行物
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- 日本計算工学会論文集
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日本計算工学会論文集 2008 (0), 20080013-20080013, 2008-05-28
一般社団法人 日本計算工学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390288469025197312
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- NII論文ID
- 130008056273
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- ISSN
- 13478826
- 13449443
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可