側頭骨小細胞癌症例

DOI
  • 成尾 一彦
    奈良県総合医療センター 耳鼻咽喉科 奈良県立医科大学 耳鼻咽喉・頭頸部外科
  • 堀中 昭良
    奈良県総合医療センター 耳鼻咽喉科 奈良県立医科大学 耳鼻咽喉・頭頸部外科
  • 大山 寛毅
    奈良県立医科大学 耳鼻咽喉・頭頸部外科
  • 西村 忠己
    奈良県立医科大学 耳鼻咽喉・頭頸部外科
  • 北原 糺
    奈良県立医科大学 耳鼻咽喉・頭頸部外科

書誌事項

タイトル別名
  • A case of small cell carcinoma in the temporal bone

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抄録

<p>極めてまれな側頭骨小細胞癌症例を経験したので報告する.症例は,69歳男性,主訴は右顔面神経麻痺であった.幼少期より右慢性中耳炎の診断で,断続的に耳鼻咽喉科診療所を通院していた.右外耳道狭窄と右顔面神経麻痺が生じ,全身麻酔下に乳突部と外耳道から生検を行い,小細胞癌との診断に至った.肺小細胞癌(限局型)に準じ,化学放射線治療(シスプラチン+エトポシドに放射線治療66 Gyを併用)を施行した.Grade 2の腸炎,Grade 4の好中球減少も生じたが,化学療法を3クール施行した.右外耳道の腫脹は軽減し深部の鼓膜も確認できるようになったが,その後嘔気,頭痛が出現し,癌性髄膜炎,水頭症となり全身状態が悪化,初診より6か月後に不幸な転帰をとった.</p><p>慢性中耳炎の経過中に,顔面神経麻痺や外耳道狭窄など出現すれば,悪性疾患併存の可能性も想定し画像検査ならびに生検など迅速に精査を行うべきである.</p>

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